学ぶ 2019.03.18 「都銀」「地銀」「信金」の違いって?知っておきたい金融機関の基礎知識

都銀・地銀・信金など、身近にある金融機関。日頃当たり前のように利用していますが、その種類はさまざま。今回は生活に密着した「預金取扱金融機関」にフォーカスして、何が違うかを解説します。

■預金先=資金の貸し手と借り手の仲介者 

普段預金をしている銀行や信用金庫は「預金取扱金融機関」です。これは預金者から預金を集めて、資金を必要とする企業などに貸し付ける「間接金融」の担い手である金融機関のこと。

貸付先の企業などが倒産しても、預金取扱金融機関が破綻しない限り預金者の預金は守られます。日本独自のこの仕組みのおかげで、預金者は安心して銀行などにお金を預けることができます。

■預金取扱機関の種類は?

預金取扱金融機関は「普通銀行」「信託銀行」「中小企業金融機関」「農林水産金融機関」などに分けられます。預金先としてよく利用されている都市銀行や地方銀行、信用金庫はどこに分類されているのでしょうか。

・普通銀行:「都市銀行」「地方銀行」「第二地方銀行」など
・中小企業金融機関:「信用金庫」「信用組合」「労働金庫」など

あまり馴染みのない「農林水産金融機関」は、「農業協同組合の信用事業(市町村)」「信用農業協同組合連合会(都道府県)」「農林中央金庫(全国)」に分けられます。預金取扱金融機関は形態・業務地域・取引企業の規模などの基準で細分化されているのです。

■都市銀行、地方銀行、信用金庫の違い

預金取扱金融機関の中でも人々の生活に密着し、預金先やローンの借り先として利用することが多い「都市銀行」「地方銀行」「信用金庫」。その特徴を見ていきましょう。

都市銀行:大都市に本店があり全国規模で展開

銀行法に基づいて設立されている普通銀行。大都市に営業基盤を置き、全国規模で業務展開しています。預金量や貸出量が多く、大企業や上場企業との取引が多いのも特徴です。都市銀行として免許を交付されているのは、みずほ銀行・三井住友銀行・三菱UFJ銀行・りそな銀行の4行。

地方銀行(第一地方銀行):地方都市に本店を置く地域密着型

一般的に地方銀行と呼ばれているのは「第一地方銀行」のこと。地方都市に本店を置き、地域を拠点として業務展開している銀行法に基づく普通銀行です。地元の企業や個人を対象とした取引が多いのが特徴です。

第二地方銀行(第二地銀):中小企業の心強い味方

第一地方銀行との違いは、歴史的経緯です。第一地銀が株式会社であるのに対し、第二地銀は相互銀行を前身としています。相互銀行とは一定の加入者を集めて、その組合員・団体から定期的にお金を預かり、抽選や入札による方法で加入者に貸出をしていた組織のこと。

今の日本には存在しませんが、以前は第一地方銀行がカバーできないような中小企業を顧客としていました。中小企業金融専門の銀行であった流れから、第一地銀に比べて規模は小さめです。

信用金庫:地域に根付いた非営利協同組織

株式会社である銀行とは異なり、信用金庫は会員制度による協同組織として運営される非営利法人です。信用金庫の監督官庁は金融庁。信用金庫は営業地域も限定されており、その目的は地域の活性や相互扶助です。

会員は、営業地域内を拠点とする中小企業や個人事業者、営業地域内に勤務または在住する人々。個人事業者で常時300人超の従業員を雇用している場合や、法人事業者で常時300人超の従業員を雇用しており資本金が9億円を超える場合は、信用金庫会員になれないという制限もあります。

■都市銀行・地方銀行・信用金庫のそれぞれの特徴は?

都市銀行=全国規模、地方銀行・信用金庫=地域密着型と考えておけばいいでしょう。組織の規模によって対象とする顧客に違いがあり、特徴も異なります。

都市銀行:潤沢な資金力と資産運用の選択肢の多さ

巨大ネットワークを背景に、大企業との取引や大口融資・各種資金調達、または大口顧客や富裕層の資産運用などを得意としています。株式上場を予定している企業には、上場に向けた経営コンサルティングサービスも提供します。

個人で利用する場合のメリットは、高い信用力があるため安心してお金を預けられることでしょう。また、様々な金融商品のラインナップがあるため、資産運用の選択肢が多いことも魅力の一つです。

一方で地域密着型の営業や、小口の個人顧客のニーズに沿ったきめ細かなコンサルティングは望めない場合もあるので注意しましょう。

地方銀行・信用金庫:小口顧客への丁寧な対応

地方銀行や信用金庫は、成り立ちや顧客層、サービスが都市銀行とは対照的です。地域密着型の事業展開で、その地域の事情に即したサービスを企業に提供することができます。

個人顧客の割合が都市銀行に比べて高いため、個人にも丁寧に対応してくれます。ただし、金融商品は都市銀行ほど豊富には取り扱っていないため、資産運用をワンストップで行うといったことは望めません。

■自分に合った金融機関の選び方

自分のライフスタイルを考える

首都圏勤務の人や転勤が多いビジネスパーソンであれば、全国展開している都市銀行のほうが便利でしょう。積極的に金融商品を購入して資産運用をしていきたい人にも向いています。

一方で首都圏以外に在住で、これから居住地域がしばらく変わらない予定の人は、地方銀行や信用金庫など、自分の行動範囲内にATMや窓口がある金融機関のほうが手間を省けます。

将来の融資の可能性も考慮する

将来、住宅ローンや学資ローン、起業の時に融資を受ける可能性があることも念頭に置くべきです。メガバンクでは個人の貯金は融資の審査にほとんど影響しない一方で、地方銀行や信用金庫では長期定期預金が信用になると言われています。

貸出金利は一般的に「都市銀行<地方銀行<信用金庫」となっています。しかし信用金庫は、小規模な融資でも営業担当者が直接足を運んでくれるなど、丁寧な対応を期待できます。ただし上述の通り、個人事業主は事業規模が大きいと信用金庫の会員になることはできません。

普段何気なく使っている「都銀」「地銀」「信金」ですが、一口に金融機関といっても様々な形態があります。就職や転職を機会にメインバンクを変更する人や融資を受けたい人は、それぞれの特徴を知れば、より自分に合った金融機関選びができるはずです。

TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:Anton Violin/ shutterstock.com

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