学ぶ 2019.04.08 イマイチよくわからない雑所得。税率はどう違う?
最近流行のフリマアプリやネットオークションで不用品を売ったり、ビットコインなどの仮想通貨に投資したりして得た利益は「雑所得」にあたります。所得は種類や額によって控除が受けられますが、知識がなかったり間違っていたりすると、受けられるはずの控除が受けられず損したり、申告漏れになったりしてしまします。そうならないよう、雑所得に関する知識や税率の計算方法を確認しておきましょう。
■雑所得とは他の9区分に当てはまらない所得のこと
所得税法では所得を「利子所得」「給与所得」などに分類し、それぞれに税率を定めています。その9つの区分のいずれにも該当しない所得を「雑所得」といいます。下の表の10番目が雑所得です。
所得の種類税区分 | 説明 | |
1 | 利子所得 | 預貯金の利息や債券の利子 |
2 | 配当所得 | 株式の配当など |
3 | 不動産所得 | アパート経営等で得た所得 |
4 | 事業所得 | 農業や小売業などの事業で得た所得 |
5 | 給与所得 | 雇用関係のもと発生する給与 |
6 | 退職所得 | 退職金等の一時所得 |
7 | 山林所得 | 立木の伐採や譲渡による所得 |
8 | 譲渡所得 | 自宅等の資産を譲渡して得た所得 |
9 | 一時所得 | 懸賞の賞金、公営競技の払戻金など |
10 | 雑所得 | 上記にあてはまらない所得 |
所得税は、1年間に得た収入によってその額が変わります。所得の種類ごとに経費の範囲や計算方法が定められています。雑所得は、他の9つの区分にあてはまらない課税所得のことです。具体的には事業規模に満たない副業による収入、投資の中でもFXやビットコインによる利益などです。
その他、個人年金を含む年金、著述家や作家以外が受け取る原稿料、アフィリエイトによる収入、インターネットオークションやフリマアプリでの売上金も雑所得です。
■雑所得にかかる税率は?
雑所得は、給与所得や譲渡所得、不動産所得などと合算してから税額を計算します。例えば一般的なサラリーマンが年間10万円の雑所得を得ていた場合、「給与所得+10万円」に税率をかけて所得税額を求めます。年間所得にかけられる税金は、所得金額によって税率が変わります。所得金額による税率の変化は次の表のとおりです。
所得税の速算表課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
ここで注意したいのが、「所得」の範囲について。所得となるのは「収入から基礎控除や給与控除、その他の控除を差し引いた後の金額」となります。雑所得からは必要経費が差し引けます。収入から控除や経費を差し引いた後の所得が「課税所得」です。所得税は下記の式で求められます。
所得税の計算式
「課税所得(総所得-控除・経費)×所得税率=所得税」
例えば、年収が400万円であっても、課税所得が100万円であれば所得税率は5%となり、所得税は5万円になります。給与所得者は、雑所得が20万円を超えると確定申告の対象となります。収入から経費を差し引き、雑所得が20万円を超えたときには確定申告を忘れず行いましょう。
■副業サラリーマンの所得税計算
雑所得と所得税について理解を深めるため、ここからはサラリーマンAさんを例にして所得税を計算していきます。計算の流れや方法について、参考にしてください。Aさんの2017年の年収は500万円でした。専業主婦の妻と、未就園児の子ども1人といっしょに暮らしています。
Aさんは副業として休日にインターネット関連の仕事をしており、その収入は年間で50万円ほどです。Aさんの場合、合計550万円の収入から次のものを控除として差し引けます。
1 | 給与所得控除 | 給与所得者のための控除 | 給与所得控除は年収によって異なる。500万円の場合には「収入金額×20%+54万円」の154万円が控除 |
2 | 配偶者控除 | 配偶者の所得が38万円以下の場合に控除される | 妻は専業主婦のため38万円が控除される |
3 | 基礎控除 | 誰でも条件なく受けられる | 基礎控除38万円 |
4 | 社会保険料控除 | 社会保険料として支払った額が控除される | 社会保険料の合計70万円 |
5 | 生命保険料控除 | 生命保険料の支払額に応じて控除される | 生命保険料控除額9万円 |
6 | 確定拠出年金の掛金 | 全額所得控除 | 確定拠出年金として毎月1万円、年間で12万円を支払っている |
7 | 副業の経費 | 副業にかかった経費を差し引ける | 経費は10万円 |
(給与所得控除について詳しくはこちらをご覧ください)
控除額は154万+38万+38万+70万+9万+12万+10万合算で331万円となりました。総収入550万円から331万円を差し引くと219万円で、この金額が「課税所得」にあたり、所得税の対象となります。
ここで「雑所得にかかる税率は?」の項目で紹介した所得税の速算表をご覧ください。所得額219万円は所得税率が10%です。219万円に10%をかけると21万9,000円。Aさんの支払う所得税は、ここから控除額の9万7,500円を差し引いた「12万1,500円」です。
■所得税を算出する簡単3ステップ
税金というと難しいイメージがありますが、給与所得が主な収入で、雑所得が一部だけという方の場合は、意外と簡単に所得税を算出することができます。その方法は「収入を合算して総収入を求める」「控除や経費を差し引く」「所得に応じた税率をかける」という3ステップです。給与所得以外に雑所得を得ている方はこれだけでも覚えておきましょう。
TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXTA
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