備える 2016.09.05 「大黒柱が倒れたら……」治療・リハビリ期間のお金の不安をなくすには

一家の大黒柱が、急病で倒れたら……。一度はそんな想定をしたことがあるのではないだろうか。ある生命保険会社が、20~49歳の女性(主婦)を対象に「夫が働けなくなるリスクに関する意識調査」をしたところ、主婦の3人に2人が「夫が怪我や病気で、長期就業不能になった場合を考えたことがある」と答えている。

一番気になるのは「日々の生活費」で、85%もの主婦が不安だと答え、その対策として「貯金を切り崩す」「もっと働く」「娯楽費を減らす」などの順となっている。

しかし問題なのは、貯蓄のない世代が、20代で41.0%、30代で34.2%、40代で30.4%と3-4割を占めていること。余裕のない生活を送っていることが調査では分かっているのです。

■蓄えだけでは乗り切れない 制度の有効活用を

蓄えがあったとしてもそれを切り崩して生活できるのは、余裕のある一部の人だけだろう。乗り切るには既存の制度をできるだけ利用することだ。

大黒柱が倒れたとき、会社勤めと想定して、「有給休暇」の残日数をまず確認したい。そして長期化しそうなら「休職」制度も検討しよう。会社の規定(休職期間、賃金)により違いがあるのであらかじめ就業規則などで確かめておくことも必要だ。

社会保険の健康保険には、怪我や病気で会社を休んだときに、傷病手当金が受けられる。支給開始日から最長1年6カ月。おおよそ給料の6割を受給できる。

もし病気が重大で障害者となった場合、今度は障害厚生年金や障害基礎年金を受給することになる。

しかし自営業となると障害基礎年金は受けられるが制限が大きく、傷病手当金も労災もないため、医療保険で自衛するしかない。国民年金の不払いが話題になっているが、国民年金は年金だけでなく、このいざというときに必要な障害基礎年金もかかわっている。

障害基礎年金の保険料納付要件は、「保険料を納付・免除されている期間が年金の加入期間の2/3以上であること」「初診日が65歳未満であり、初診日の前々月迄の過去1年間に年金保険料滞納月がないこと」と決められている。未納の場合は受けられない可能性が出てくるので注意したい。

■治療の期間はどれくらい?

一体治療の期間はどれくらいになるのだろうか。

例えば、脳梗塞で倒れ入院した場合、平均入院日数は108日と言われる。1日当たりの入院治療費を平均2.3万円としても、約250万円かかる。健康保険の対象なら、3割負担で約75万円の負担だがここは国の「高額療養費制度」が使える。

「高額療養費制度」は、公的医療保険における制度の一つで、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、暦月(月の初めから終わりまで)で一定額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度。高額療養費では、年齢や所得に応じて、本人が支払う医療費の上限が定められており、またいくつかの条件を満たすことにより、さらに負担を軽減する仕組みも設けられている。

倒れた人が70歳未満で年収約370〜770万円なら、本人負担は約30万円弱で済む仕組みだ。これはきちんと活用したい。

今の医療制度上、後遺症がある場合でも長期入院はあまりすすめられず、一旦退院してリハビリに通うというのが主流だ。後遺症によるリハビリ生活に入れば、就業不能で家計を圧迫する。長期化すればさらに費用はかさむ。

こうした点に懸念があるなら、入院・手術をしたら給付金のある医療保険を検討したい。また長期のリハビリに備え、収入保障のある保険も検討しておくといいかもしれない。

医療保険のうち、三大疾病保険(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)は注意が必要だ。脳卒中の場合、その疾病により初めて診療を受けた日から60日の制限があり、すぐにはもらえないということだ。こうしたタイムラグについても保険加入の際にチェックしたい。

また通院治療を受けた際に1日につきいくら支払うという通院保障のついた医療保険を選ぶと、結果的に通院してリハビリを受ける治療費を医療保険でまかなうことができる。死亡保障+医療保障などがパッケージになっている保険も保険料を考慮しながら、比較検討したい。

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