備える 2016.09.05 大学進学時にかかる費用はいくら? 私立国立…10パターンを検証

受験シーズンがやってきた。子どもの進路に頭を悩ませる家庭も多いだろうが、それに伴い忘れてはいけないのがお金の問題である。

■大学進学費用は?

大学進学費用は保護者世代に比べるとかなり高くなっている。国立大の入学金と授業料を見ると、「こんなに高くなったのか!」と驚かれる方も多いだろう。文科省発表資料を参考に、公立大は2014年度84大学昼間部の平均額、国立大は2014年度、私立大は2013年度を記すと下記のようになる。

□国立大
入学金:28万2,000円
授業料:53万5,800円
合計:81万7,800円

□公立大(地域外)
入学金:39万7,721円
授業料:53万7,857円
合計:93万5,578円

□公立大(地域内)
入学金:23万1,333円
授業料:53万7,857円
合計:76万9,190円

□私立大(文系)
入学金:24万6,749円
授業料:74万2,478円
施設、設備費:16万19円
合計:114万9,246円

□私立大(理系)
入学金:26万5,595円
授業料:104万3,212円
施設、設備費:18万7,236円
合計:149万6,043円

□私立大(医療系)
入学金:103万6,391円
授業料:276万4,631円
施設、設備費:86万3,538円
合計:466万4,560円

■大学生の生活費はいくらか

大学進学には入学金や授業料だけではなく、生活費も必要で、特に自宅を出て都市部で一人暮らしをする場合は、その費用はかなりの金額になる。生活費は大学生協(全国大学生協連)2013年調べによると、自宅生、下宿生の1カ月の生活費は次の通りである。

□自宅生の支出合計:5万8,900円
食費:1万1,460円
住居費:240円
交通費:8,860円
教養娯楽費:8,080円
書籍費:1,740円
勉学費:1,140円
日常費:4,680円
電話代:2,840円
その他:2,460円
貯金・繰越:1万7,400円

□下宿生の支出合計:11万7,930円
食費:2万3,980円
住居費:5万3,050円
交通費:3,310円
教養娯楽費:8,900円
書籍費:1,820円
勉学費:1,510円
日常費:5,790円
電話代:4,390円
その他:3,040円
貯金・繰越:1万2,140円

大学院に進学する場合、これに加えて、60万円~80万円程度の授業料(国立大の場合の年額)と、入学金、諸費用が必要になる。特に理系学部志望の場合は要注意である。

■忘れてはいけない受験費用

忘れがちだが、受験にかかる費用もばかにはならない。

国公立大学を受験する場合はセンター試験が3教科以上で1万8,000円、2教科以下で1万2,000円、国公立の2次試験が平均すると1校あたり1万7,000円である。私立大学を受験する場合は1校につき約3万5,000円である。受験生の平均受験校数は4~6校なので、国公立を1校、私立を5校受験した場合は、21万円となる。地方からの受験だと受験会場までの交通費、宿泊費もかかる。

大学に合格すると入学金および授業料の一部、いわゆる初年度納付金が必要になる。“滑り止め”で受けた大学についても、第一志望の大学の結果が出るのが遅い場合は入学金をおさめなければいけない。地方からの受験であれば合格した後、入学前に部屋探しや家具の準備などの新生活準備費用もかかる。

■受験パターン別、進学費用

受験パターン別に大学進学時(高校3年の1年間)に必要な費用をシミュレーションしてみよう。以下の数字には、高校3年の1年間にかかる費用(学校教育費、学校外教育費)、大学の初年度納付金と受験料が含まれている。自宅外の場合には新生活準備金も加えている。初年度納付金に関しては入学時に一括で支払った場合の数字である。実際には分納も可能である。授業料の一部に関しては大学入学後に支払うこともできる。なお、下記の数字は公立高校から進学したケースを想定した。私立高校から進学した場合は、上記の数字に高校3年時の費用に約55万円プラスとなる。

1)国立大・自宅通学の場合(約202万円)
高校3年時の費用約32万円、大学進学時の費用約170万円。

2)国立大・自宅外の場合(約310万円)
高校3年時の費用約32万円、大学進学時の費用約278万円。

3)公立大・自宅通学の場合(約212万円)
高校3年時の費用約32万円、大学進学時の費用(県外の場合)約180万円(県内の場合▲16.6万円)。

4)公立大・自宅外の場合(約230万円)
高校3年時の費用約32万円、大学進学時の費用約198万円。

5)私立文系・自宅通学の場合(約232万円)
高校3年時の費用約32万円、大学進学時の費用約200万円。

6)私立文系・自宅外の場合(約332万円)
高校3年時の費用約32万円、大学進学時の費用約300万円。

7)私立理系・自宅通学の場合(約262万円)
高校3年時の費用約32万円、大学進学時の費用約230万円。

8)私立理系・自宅外の場合(約368万円)
高校3年時の費用約32万円、大学進学時の費用約336万円。

9)私立医歯薬系・自宅通学の場合(約587万円)
高校3年時の費用約32万円、大学進学時の費用約555万円。

10)私立医歯薬系・自宅外の場合(約691万円)
高校3年時の費用約32万円、大学進学時の費用約659万円。

計算根拠は以下の資料を基にした。

  • 日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果」
  • 文部科学省「国立大学の授業料、入学料及び検定料の調査結果について」
  • 文部科学省「公立大学学生納付金調査結果」
  • 文部科学省「私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額の調査結果」
  • 日本学生支援機構「学生生活調査」

ざっくり言うと、国立大・公立大・私立文系なら200万円~230万円、私立理系なら260万円、私立医歯薬系なら600万円。いずれも自宅外への引っ越しを伴うのであればさらに100万円プラスされる計算である。

■教育費の半分は大学4年間に費やされる

日本では子ども一人あたりの教育費として、幼稚園から大学まで、すべて国公立でも1,000万円かかると言われている。文部科学省が発表しているデータ(平成18年度 子どもの学習費調査)によると、幼稚園から高校卒業までにかかる教育費総額(塾代や通学費などを含む)は約530万円となる。その内訳は、就学前(公立幼稚園)73万円、小学校(公立)200万円、中学校(公立)141万円、高等学校116万円となっている。小学校から高校までの教育費には、「学校教育費」、「学校給食費」、「学校外活動費」が含まれている。

国公立大学の教育費総額は実家住まいの場合、日本政策金融公庫の調べでは入学金や4年間の授業料などで計約500万円である。教育費の半分は大学4年間に必要なものなのである。

ちなみに幼稚園から大学までオール私立になるとどうだろう。大学が私立文系で自宅外の場合(仕送り10万円)は、就学前161万円、小学校824万円、中学校380万円、高校289万円、大学860万円で、合計2,514万円になる。私立理系の場合は2,662万円、医学部ともなれば約4,950万円が必要となる。

あくまで目安だが、マネープランを考える上で参考にしてみてはいかがだろう。

TEXT:ZUU online 編集部
PHOTO:PIXTA

マネチエでは身近なお金の話題をお届けしています
この記事を気に入っていただけたらフォローをお願いします!

ページトップ