備える 2016.11.24 今から知っておきたい、将来もらえる年金を増やす方法

「少子高齢化の影響で、将来もらえる年金が減る」というニュースを最近よく耳にします。今の20代、30代のなかにも漠然とした不安を抱いている人が多いはず。今回は、日本の年金制度をおさらいしてみましょう。

年金とは?

年金は、大きく以下の2つに分けられます。

・公的年金

国が管理・運営をする年金制度です。日本国内に住むすべての人に加入が義務付けられており、国民年金、厚生年金の2種類があります。

・私的年金(個人年金)

国以外の組織が運営する年金制度で、商品名として個人年金と呼ばれることもあります。加入は任意で、企業年金や民間の保険会社などが販売している年金保険商品などが存在します。

公的年金に加えて、私的年金を掛けることで将来もらえる年金額を増やすことが可能です。

誰もがもらえるのは基礎となる国民年金

20歳以上60歳未満の国民が、原則として強制的に加入することになっているのが国民年金で、誰もがもらえる年金の基礎部分になります。これは年金の受給時には老齢基礎年金と呼ばれ、国民は働き方によって以下の3つに区分けされます。

  • 第1号被保険者:自営業者とその配偶者
  • 第2号被保険者:会社員や公務員
  • 第3号被保険者:会社員や公務員に扶養されている配偶者

第1号被保険者である自営業者やパートタイマー、非正規雇用者などは、受け取れる年金が基礎部分の国民年金だけになります。

一方、第2号被保険者である会社員・公務員には厚生年金という制度があり、基礎部分の国民年金に加算して年金をもらうことができます。厚生年金の保険料は給与から天引きされますが、保険料の半分を所属する企業や団体が負担してくれるのが大きな特徴となっています。

年金を増やす方法 その1:確定拠出年金に加入

勤務先が確定拠出年金の制度を設けているなら、それに加入することで毎月の年金受給額をアップすることができます。金額や受け取り期間は各企業によって異なるので、詳細は勤務先の担当部署に確認してみてください。

勤務先に確定拠出年金の制度がない場合や自営業者の場合は、個人型の確定拠出年金を利用するという方法があります。特徴は以下の通りです。

  • どんなしくみ?:民間の金融機関を選択し、払った掛け金を管理機関が投資運営し、60歳から年金や一時金として給付されるシステム
  • 掛け金:5,000円からはじめられ、限度額まで1,000円単位で設定できる。年1回に限り、掛け金の変更をすることも可能
  • その他:掛け金が全額所得控除の対象になる

なお、この個人型の確定拠出年金は2017年1月から、主婦や公務員、勤務先に確定拠出年金制度がある会社員も加入対象になり、そのあり方が大きく変わるので、今後も要チェックです。

年金を増やす方法 その2:付加年金に加入(自営業者の場合)

厚生年金に加入できない自営業者は、受け取れる年金が国民年金だけのため、給付される額は会社員や公務員よりも少ないことになります。そんな自営業者が気軽に年金を増やす方法としておすすめなのが、付加年金です。

  • どんなしくみ?:国民年金の保険料と一緒に付加保険料を納付し、国民年金を受給するときに上乗せしてもらえる加算年金のこと
  • 掛け金:1カ月400円の定額制で、この付加保険料を納めると、「付加年金の納付月数×200円」の年金を上乗せして受け取ることができる
  • その他:年金を2年間受け取れば十分に元が取れる

補足:毎月400円の付加保険料を30年間(360カ月)納めると、結果として総額14万4,000円を保険料として納付することになります。すると、1年間にもらえる年金が「360カ月×200円=7万2,000円」増えることになるため、理論的には、2年間、年金を受給することで元が取れることになります。

年金を増やす方法 その3:国民年金基金に加入(自営業者の場合)

経済的に余裕があるなら、国民年金基金への加入を検討してはいかがでしょうか。国民年金基金は自営業者や非正規雇用者など第1号被保険者だけが加入できる年金上乗せシステム。月額6万8,000円を上限に掛け金や口数を選ぶことができ、給付金額が低い基礎年金部分を底上げすることができます。国民年金基金には、付加年金分が含まれているため、国民年金基金と付加年金は同時に加入できません。

さらに前出の個人型の確定拠出年金は自営業者も利用することができるので、国民年金基金と合わせて検討してみてもいいでしょう。

老後への備えは、時間を味方につけて手堅く

年金を増やすために忘れてはならないのは、年金をもらう権利を確保すること。まずはきちんと保険料を納めて、受給資格期間を満たすことが先決です。

年金を増やすために大きなリスクをとる必要はありませんが、月々無理のない負担額で手堅く年金額を増やす方法を今から検討するのは賢明なことです。老後への備えは、早くはじめるほど有利。時間をかけてコツコツ年金を育てる気持ちで、前向きにはじめましょう。

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TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXTA

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