備える 2016.12.06 会社員なら知っておきたい、3種類の財形貯蓄

会社員や公務員が、給与天引きで積み立てられる勤務先の貯蓄システムを「財形貯蓄制度」と呼びます。なかには周りの人に勧められたまま、なんとなく財形貯蓄制度を利用している人もいるかもしれません。財形貯蓄制度は従業員に対して企業側が実施する福利厚生制度の1つで、特徴は一般の貯蓄よりも有利に貯められる点。給与天引きなので、強制的に先取り貯蓄できるのも利点です。今回は、そんな財形貯蓄制度について、わかりやすくご紹介します。

財形貯蓄には3種類ある

財形貯蓄ができる対象者は55歳未満の人。種類としては以下の3つがあります。

  • 一般財形貯蓄:貯蓄目的に制限がなく、複数契約も可能
  • 財形住宅貯蓄:住宅の取得を目的とし、使途は住宅の購入や増改築の費用に限られる
  • 財形年金貯蓄:老後資金の準備を目的とした貯蓄。貯めたお金を60歳以降に年金として受け取れる

一般財形貯蓄は「まだ何に使うか決まっていないけれど、貯蓄をしたい」という場合に利用しやすい制度です。貯蓄開始から1年たてば自由に払い出しができるので、気軽に始められるのもうれしいところ。ただし、税制面での優遇措置はありません。

それに対し、財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄は目的が制限される分、税制面での優遇措置があるのが特徴です。財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄は、両方合わせて元本550万円まで(保険型の財形年金貯蓄は払い込み額が385万円まで)の利息が非課税になります。

住宅購入における財形貯蓄のメリット

一般、住宅、年金いずれかの財形貯蓄を継続していると、「財形持家融資」という制度を利用できます。

財形持家融資とは財形貯蓄を1年以上している、残高が50万円以上などの条件を満たした人が受けられる融資で、財形貯蓄の残高の10倍まで(最高4,000万円まで)を受けることができます。融資手数料が無料、金利は5年間の固定金利、住宅金融支援機構の住宅ローン「フラット35」との併用が可能といった特徴があります。

使途がマイホームの新築や購入、増改築に限られているとはいえ、非常に大きな額の融資を低金利で受けられるので、大きなメリットといえるでしょう。

老後資金における財形貯蓄のメリット

財形年金貯蓄で貯めたお金は60歳以降に年金として受け取ることができ、受取期間は5年以上20年以内で自由に選ぶことができます。また、積み立て時に非課税枠があるだけでなく、年金として受け取るときも非課税というメリットがあります。

たとえば60歳で退職した場合、公的年金が支給される65歳までの5年間に受け取れるよう設定すれば、年金収入がない期間をカバーすることが可能になるのです。

非課税枠を最大限に活用するには?

財形貯蓄の非課税枠を最大限に活用するには、きちんと段階を踏んで財形貯蓄を利用するのがポイントです。

まず財形住宅貯蓄で550万円ギリギリまで貯め、マイホームを購入して払い出した後、今度は財形年金貯蓄を開始すれば、非課税枠を2回使うことができます。預貯金型の財形年金貯蓄なら550万円、保険型なら385万円までが非課税になります。

ただし、非課税枠を超えた場合は、超えた部分にかかる利子のみが課税対象となるのではなく、非課税枠の部分にかかる利子も含めて課税の対象となるので、注意してください。

また、目的外の払い出しをした場合は、過去5年間に非課税で支払われた利息に対して課税されるので、合わせて注意する必要があります。たとえば、財形住宅貯蓄の適格払い出しには、売買契約書の写しなど、住宅の購入や増改築を証明する書類を提出する必要があります。これらの書類がない場合は目的外の払い出しと判断されます。

財形貯蓄をはじめたいと思ったら?

会社によって異なるので一概にはいえませんが、財形貯蓄制度を導入している場合は、入社時の研修や説明会などで案内があることが多いようです。もし自分の会社にあるかわからなければ、上司や先輩、総務部や人事部などに確認してみましょう。制度があれば、財形貯蓄をしたい旨を伝え、担当部署から説明書や申込書などをもらい、手続きを行います。

自分や配偶者の勤務先に財形貯蓄制度があるなら、利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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