備える 2016.12.09 2017年に改定される「地震保険」のあらまし

東海地震や南海トラフ巨大地震、首都直下型地震など、予測される大地震は数多くあります。日本損害保険協会によると、今後30年間に震度5以上の揺れに見舞われる確率は日本のほとんどの地域で26~100%という高確率。地震列島に住んでいる以上、大地震に遭うリスクを減らすことはできないのです。そこで、備えの1つとして有力な「地震保険」にフォーカス。2017年1月に改定が予定されている注目保険についてご紹介します。

地震保険の仕組みと加入状況

その名の通り、地震がもたらした損害を保障するのが「地震保険」。地震による損害は甚大なため、国が一定額以上を負担するシステムになっています。国が関わっているため、どの保険会社で加入しても保険料、内容は同じです。

ただし、地震保険単体では加入できず、火災保険の加入時にセットで申し込むか、後で付け加えるかの2択になります。

任意加入の保険のため、加入するかどうかは自己判断ですが、近年は加入者が急増中です。1994年は全国で9%程度だった加入率は、阪神淡路大震災、東日本大震災を経た2012年には27.1%に急伸。その後も右肩上がりで伸びており、2015年には29.5%と、約3割の世帯が加入しています。

地震保険の保険料は急速に値上がり中

地震保険は、当然ながら地震リスクが高まるほど保険料も上がっていきます。料率を算定しているのは損害保険料率算出機構という団体で、被害予測のシミュレーションに基づいて改定してきました。近年の全国的な地震頻発を受け、2014年には18年ぶりに全国平均15%の保険料値上げが実施され、エリアによっては最大で30%の引き上げも。

この背景には、大地震の危険度の高まり、さらには自然災害多発による損害保険会社の収支悪化があります。再値上げは2017年1月を目途に予定されており、2014年を上回る全国平均19%の値上げになる見込みです。

<補足>今回の料率引き上げでは3段階に分けた引き上げが予定されており、その1回目として2017年1月は全国平均5.1%の値上げが実施されます。(2016年12月13日 追記)

必要ならば一括払いも検討してみよう

このように、地震に備える保険料負担は増す一方ですが、地震保険には「最長5年分まで先払いできる」という特徴があります。一括払いによって割引される上、払い込み時点の料率で計算されるため、値上がりの影響を受けることもなくなります。加入を検討しているご家庭であれば、値上げ前の駆け込み、まとめ払いも有力な選択肢になるでしょう。

もちろん、値上がりするエリアばかりではありません。値上げ幅が大きいのは太平洋沿岸の都道府県。2014年の値上げ時には料金が下がった地域もありました。

さらに、自然災害によって全半壊した家屋、長期避難を強いられた世帯に支援金を給付する「被災者生活再建支援制度」というバックアップもあり、全壊家屋を再建する場合なら最大300万円の支給が受けられます。

公的な支援と合わせ、生活再建に十分な貯蓄があるのであれば、地震保険に焦って加入する必要はないかもしれません。お住まいの自治体のハザードマップなどを参考に、加入の是非を慎重に検討するのがおすすめです。

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