備える 2016.12.30 育児と介護、「ダブルケア」に備えて今からできること

子育てと、親や義親の介護が同時期に発生する状況を示す「ダブルケア」。ライフイベントが重なるため、当然、精神的・体力的負担に加え、経済的負担も大きいはず。今、30代の4人に1人以上(27.1%)が身近な問題としています(ソニー生命調べ、2015年)。いざというとき、適切な対処ができるよう、今からできる備えについて考えてみましょう。

ダブルケアの現状

総務省の「就業構造基本調査」(2012年実施)によれば、ダブルケアを行う人の数は女性約17万人、男性約8万人。少子高齢化と、晩婚化による出産年齢の高齢化が進むなか、今後、より増えていくことが予想され、内閣府男女共同参画局のレポートにもその実態がまとめられています。

このような状況にも関わらず、社会には子育てと介護の両立を支えるしくみがまだ整っていません。おまけに、介護と子育てで役所の窓口が異なり、対応をたらい回しにされることもあるような現状です。

また、ダブルケアの負担が原因で、仕事を辞めざるを得ない状況になる人も少なくありません。子育てや介護そのものにお金がかかるだけでなく、収入面においても、経済的負担が大きくなることがわかります。

【ダブルケア前後の就業率】

・男性(正規の職員・従業員の割合、()内は無職の割合)
ダブルケア開始前:75.0%(3.9%)
ダブルケア開始後:65.7%(7.0%)

・女性(正規の職員・従業員の割合、()内は無職の割合)
ダブルケア開始前:36.0%(33.6%)
ダブルケア開始後:23.7%(45.4%)

(※内閣府男女共同参画局調べ、無職は「専業主婦・主夫、学生、その他」を指す)

ダブルケアに活用できる制度

ダブルケアによる経済的負担を軽減するためには、貯蓄しておくことも大切ですが、さまざまな支援制度を活用するのも手です。とはいえ、どんな制度があるかわからない、という方も多いのではないでしょうか。まずは、代表的な制度をチェックしておきましょう。

【公的介護保険制度】

40歳以上の人が全員加入し、介護保険料を納め、介護が必要になると介護サービスが受けられる制度です。65歳以上は原因を問わず所定の要介護状態になった場合、40〜64歳は骨折を伴う骨粗しょう症や糖尿病性神経障害などの特定の病気(16疾病)によって要介護状態になった場合に認められます。また、要介護状態は度合いに応じて「要支援1〜2」「要介護1〜5」に段階分けされ、それぞれに支給限度額が定められています。

<要介護度別の支給限度額>

  • 要支援1:5万30円
  • 要支援2:10万4,730円
  • 要介護1:16万6,920円
  • 要介護2:19万6,160円
  • 要介護3:26万9,310円
  • 要介護4:30万8,060円
  • 要介護5:36万650円

【育児休業給付金】

一般被保険者が原則1歳(特別な理由がある場合は1歳6カ月まで)未満の子を養育するため、育児休業した場合に支給されます。支給額は下記のとおりです。

<育児休業給付金支給額>

  • 育休を開始してから180日まで:休業開始前賃金の67%
  • 育休を開始してから181日以降:休業開始前賃金の50%

【介護休業給付金】

家族を介護するための休業をした場合に支払われる給付金です。支給額は以下のとおりです。

<介護休業給付金支給額>

  • 休業開始時賃金日額×支給日数×67%

育児休業給付金、介護休業給付金を受給するには、雇用保険の加入者であること、休業の開始前2年間で、1カ月の内に11日以上働いた月が12カ月以上あることなどいくつか条件があります。気になる人はハローワークのHPで確認してみましょう。

ほかにも、会社ごとに短時間勤務制度や保育料補助など、独自の支援制度が設けられている場合もあります。使える制度はないか、勤務先の上司や総務部に相談してみることも大切です。

ダブルケアへの備えとして必要なこと

ダブルケアへの備えとして、まずは支援制度の存在をお伝えしましたが、もう1つ大切なことがあります。それは、これから起こりうる出来事や、それに係る必要資金などを盛り込んだライフプランを「見える化」しておくことです。ダブルケア自体は予測がつかないとしても、ライフプランをもとに計画的に貯蓄したり、必要な制度を調べたりしておくことはできます。

その際、ライフプランナーやファイナンシャルプランナーなどプロの手を借りるという選択肢もあります。より詳細なライフプランのシミュレーションや、貯蓄・保険準備のアドバイスなどをしてくれるはずです。個々に合ったやり方で、できることから始めていきましょう。

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