備える 2017.01.16 意外と知らない医療費の節約テクニック

私たちは「健康に関わることだから」と医療費の内訳を気にせずに受診し、決められた通りに医療費を払いがちです。しかし、場合によっては同じ診察でも負担額に差が出ることがあります。必要以上のコストを払っていないか、まずは、医療費のしくみを理解することからはじめましょう。

医療費(診療報酬)のしくみ

治療費や薬代など、公的な医療保険から医療機関や薬局に支払われるのが「診療報酬」です。こちらは、治療や薬ごとに価格が決まっている公定価格。各種の医療サービスは数千もの項目で細かく点数化されており、1点=10円としてカウントされ、その3割が患者の自己負担となります。

まず、病院を受診する際に最低限かかる費用から見てみましょう。

  • 初診料:850円(282点)
  • 再診料:220円(72点)
  • 外来診療料:230円(73点)

※記載金額は3割負担としたときのもの(カッコ内は点数)

外来診療料は入院ベッド数が200床以上ある病院に再診で外来受診した場合の料金。初診料は共通ですが、再診では病院の規模によって料金が異なることが分かります。

ここでカギになるのが紹介状の有無。正式には「診療情報提供書」という医師の紹介状がない場合、大きな病院になるほど負担が増すしくみになっています。

■入院ベッド数が200床以上の病院

紹介状なしでかかると「選定療養費」として初診時に500円~数千円(病院の任意で決定)かかります。

■入院ベッド数が500以上の特定機能病院(全国で約240カ所)

紹介状なしでは初診・再診に関わらず「選定療養費」が5,000円以上(病院の任意で決定)かかります。

なぜ「選定療養費」が発生するかというと、最新の診療報酬ガイドラインが「医療機関の役割分担」をテーマにしているため。大病院にいきなりかかるのではなく、まずは地域の診療所で受診を、という意向があるのです。

不要な医療費を払わないために

大病院は「3時間待ちで3分診療」と言われるほど待ち時間が長く、混雑しているところが多いと言われています。その上、紹介状なしでは「選定療養費」で負担が増すばかり。費用の面だけで見ると、いきなり大病院にかかるのは推奨できません。

大病院での診察が必要なら、初診の医師に紹介状を書いてもらうと医療費を安く抑えられるでしょう。紹介状の費用は診療報酬では750円。一定のコストはかかりますが、これで数千円の選定療養費をカットできます。

複数の医療機関を渡り歩く「はしご受診」も、同様の理由でおすすめはできません。かかりつけの医師・薬局を決め、長いスパンで診てもらう方が医療費は安くつくのです。

診療報酬は2年に1度のペースで見直されており、最新版は2016年4月から施行されています。数千の項目を把握するのは困難ですが、医療環境に即して変わっていくことは覚えておいた方がよいでしょう。

TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXTA

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