備える 2017.05.12 独身こそ必要?就業不能保険について考えよう

近年「働き方」や「労働時間」に関するニュースが飛びかっています。それを見ると不安に思う方もいるのではないでしょうか。実際、病気やケガなどで働けなくなったときの不安は大きいものです。なぜなら、入院や療養のための支出が生じるにも関わらず、休職や退職により収入がなくなる、もしくは減る可能性が高いからです。こうしたリスクに備えることができるのが「就業不能保険」。生命・医療保険に比べて知名度低めの就業不能保険について紹介します。

就業不能保険とはどんなものか

就業不能保険とは「就業不能」という言葉からもわかるように、仕事に就けないときの収入減や停止に備える保険です。収入が減っても生活費はかかりますし、ローンや光熱費の支払いも待ってくれません。そのような支出に備えることができるのが、就業不能保険です。

病気やケガで就業不能になった場合に、所定の条件を満たすと給付金を受け取ることができます。給付は年金形式で定期的に受け取ることができるため、日々の支出に備えやすいという性質があります。

医療保険では代替できない?

「病気のときの保障は医療保険があるから大丈夫」という意見もあるかもしれません。確かに病気やケガのとき、医療保険は大きな助けになるでしょう。ただし、医療保険の多くは「入院日額」と「手術給付金」がメインです。自宅での療養には基本的に対応していません。そのため原則として、病気やケガによる休職・退職の備えとしては不十分です。

もちろん、医療保険にもメリットはあります。しかし医療保険はあくまで、入院・手術・通院などの医療に対する保険であり、働けないときのお給料の代わりにはなりません。小さい子どもがいる、家のローンがある、という世帯では就業不能時のリスクはかなり高いため、積極的に検討することをおすすめします。

就業不能保険の概要

収入減や収入停止に備えることができる就業不能保険ですが、保障内容や加入の条件はどのようになっているのでしょう。加入の際に知っておきたい基本的内容を紹介します。

・保障期間

就業不能状態になってもすぐに給付が受けられるわけではなく、一定の支払い対象外の期間があります。医療保険の多くは入院1日目から給付されるので、この差異には注意しましょう。

・支払い条件

就業不能であれば、どんなケースでも給付が受けられるわけではありません。自己判断による休業は保障されませんし、医師の診断があってもなお対象外という病気もあります。

・保障額

基本は毎月定額の給付が受けられます。満期年齢や保険期間の設定も保険商品ごとに異なるので確認が必要です。なお、数年間の最低保障があることが多いです。

・加入条件

身体に関する保険ですので、健康状態や職業によっては加入できません。

就業不能保険の中にもさまざまな特色があります。加入の際は、内容をよく確認して選びましょう。

就業不能保険の紹介

概要については既述の通りです。各保険会社でどのような商品が取り扱われているのか、実際に販売されている商品の特色を見ていきましょう。

・Aflac 「給与サポート保険」

Aflacの 「給与サポート保険」の特色は、就労困難状態が60日継続した場合に、最初の6回分は生存さえしていれば給付金を受け取れるというものです。60日就業不能になった後すぐに職場復帰したとしても、通院や体力の低下などにより、しばらくは家計が不安定である可能性があります。そのためこの給付金があると安心です。また、給付金が二段階設定できるようになっていて、就業不能期間が長期化すると、受取額を増やすことができます。

<保険料の例>

  • 30歳男性
  • 保険期間・保険料払込期間:60歳まで
  • 短期回復支援給付金(1~17回目):月額10万円
  • 長期療養支援給付金(18回目以降):月額20万円
  • 月額保険料 4,740円

受け取りがなかった場合:長期療養支援給付金の受け取りがなかったときは、長期療養支援給付金1回分の給付金が受け取れます。

・ライフネット生命「就業不能保険」

ライフネット生命の「就業不能保険」は、給付金の支払い対象外の期間が、60日、もしくは180日のいずれかから選択できます。就業不能の影響が重くなるのは、状態が長期化したときです。短期間ならば医療保険や貯蓄で乗り切ることも可能ですし、会社員ならば最長1年6カ月間、傷病手当金を受給することができるため、理に適っているともいえます。当然、支払い対象外の期間を長くすれば、保険料も低く抑えることができます。

この就業不能保険は、内容がシンプルであるのも特徴の一つです。対面で申し込みができないインターネット保険ですので、内容の分かりやすさは重要でしょう。

<保険料の例>

  • 30歳男性
  • 保険期間・保険料払込期間:65歳まで
  • 毎月受取金額:10万円
  • 支払い対象外期間:180日
  • 月額保険料 1,896円

・チューリッヒ生命 「くらすプラス」

チューリッヒ生命の「くらすプラス」の大きな特徴は、うつ病など、ストレス性の病気にも対応している点です。

▽該当するストレス性の病気

  • 気分(感情)障害(うつ病等)
  • 神経症性障害、ストレス関連障害、身体表現性障害
  • 摂食障害
  • 更年期障害
  • 統合失調症、統合失調症型障害および妄想性障害
  • 非器質性睡眠障害
  • 胃潰瘍
  • 十二指腸潰瘍
  • 潰瘍性大腸炎
  • 過敏性腸症候群

ストレス性の病気は健康な人でも罹患の可能性があります。そのため加入者にとっては大きなメリットです。また、受け取り方が多彩で、毎月受け取るという年金形式だけではありません。最初に全額、もしくは一部を一括で受け取ることもできるのもうれしいポイントです。

<保険料の例>

  • 30歳男性
  • 保険期間・保険料払込期間:60歳まで
  • 毎月受取金額:10万円
  • 月額保険料 2,215円

確定年金であることも重要です。就業不能に該当した後、復職しても選択した年金受取総額は必ず受給することができます。

この保険は分類でいうと医療保険になります。終身医療保険に特約として就業不能保険が付帯している、と考えましょう。特約の就業不能保険が、そうでない場合に比べて機能性で劣るということはありません。ただし、主契約が終了すると同時に特約も保障が無くなるので気を付けましょう。

パターン別! 就業不能保険の選び方

就業不能保険の活用法を、パターンごとに紹介します。

・独身の場合

【必要性】高い
独身の場合、自分で自分を養っていかなければなりません。医療費に対する備えと同時に、就業不能保険に加入しておきましょう。

・家族がいる場合

【必要性】生活環境によるが、基本的に高い
子どもがいない夫婦であれば、夫婦の就業状況によって答えが異なります。就業していない配偶者であれば就業不能保険の必要性は低いかもしれませんが、共働きや世帯主、子どもがいる場合は、収入が減ったときのリスクが大きいので加入しておきましょう。

・マイホームがある場合

【必要性】団体信用生命保険の保障内容による
住宅ローンがあれば、基本的に就業不能保険には加入しておきたいです。ただし、三大疾病特約のある団体信用生命保険に加入しているのであれば、未加入という選択もありえます。家計状況に応じて判断しましょう。

就業不能保険を「必要か」考えてみよう

近年は、医療の進歩により、死亡リスクと同じくらい病後リスクにも留意したいものです。もし、死亡リスクと医療費のみに備えているのならば、現在加入している保険を見直すメリットもあるかもしれません。改めて、就業不能保険が必要かどうか考えてみてはいかがでしょうか。

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