備える 2017.05.16 奨学金が返済できない若者増。注目される「返済不要」の奨学金とは

学費や仕送りの足しにと活用されてきた奨学金。従来は利子の有無を選ぶことのできる日本学生機構の奨学金が有名でしたが、新たに返済不要な奨学金が登場していることをご存じでしょうか。今回は、そんな学生を救うかもしれない返済不要の奨学金制度を紹介します。

高まる奨学金ニーズの背景は?

そもそも、今の時代に奨学金は必要なのでしょうか。

学生は生活を賄うための収入として、大きく2つの収入元があります。1つは両親からの仕送り、もう1つは、アルバイトなどから得る収入です。後者は、学業に影響が出る可能性があり、また生活費や学費のすべてをカバーすることは難しく、多くの学生が仕送りをしてもらっているのが現状です。

全国大学生活協同組合連合会が発表した「学生生活実態の概要報告」の調査結果を見ると、仕送りの平均額は月7万600円。これは2010年と比べると上下しながらも700円の微減となります。

家賃や物価の上昇を考えると、相対的に余裕を持った生活は送りづらく、学業が忙しい学生などは奨学金に頼らざるを得ない結果になってしまうことが予測できます。

奨学金返済の実態

では、奨学金返済はどのような状態にあるのでしょうか。

現在の制度は、基本的には学生が大学などを卒業した後に返済義務が発生するようになっています。つまり、就職して一定の収入が見込めるようになるまで猶予を設けています。ただ、それでも学生にとっては返済が厳しいのが現状です。

日本学生支援機構の統計によると、2014年時点では3カ月以上返済を遅滞している方は17万人以上も存在しており、これは奨学金を利用している学生の5~6%にあたる数字です。1日以上の遅滞となると32万人という膨大な数になります。これらの遅滞者の理由としては、十分な収入が得られていないことが原因で、アンケート調査の51.6%が遅滞の理由は「本人の低所得」という回答をしています。

非正規雇用の拡大、就職難などさまざまな問題が表面化してきている今、この奨学金制度もその大きな波の中にあることがわかります。

給付型奨学金とはどんなものか

そのようななかで注目されているのが、原則返済不要である「給付型奨学金」です。

  • 住民税非課税世帯の1学年2万人の生徒が対象
  • 月額2万円から4万円の給付金が支給
  • 私立大の下宿者や児童養護施設出身者などに対しては、2017年度から優先的に措置(2018年度からの施行、*1)
  • 児童養護施設出身者には別途24万円の一時金などが支給

もちろん予算や応募対象者の枠があるので無制限には給付されませんが、対象者は成績や家庭の状況から判断して、給付金を受け取ることができます。

奨学金をしっかり選んで教育費の負担を軽減

奨学金制度は大学や短期大学をはじめ、地方自治体、民間団体で実施されています。一部の民間団体には、返済不要の奨学金も存在します。

指定の高校に在学し、指定の大学・大学院に進学する学生を対象としているなど、給付の条件はさまざまです。返済の義務はないものの、奨学生にふさわしくない行動をとった場合は、給付の中止や返還を求められる場合もあるので注意が必要です。

<大学給付奨学制度を実施している団体例>

公益財団法人電通育英会
高校予約型奨学制度では、対象公立高校の校長推薦の候補者から、書類選考および面接により選ばれます。奨学生は一般枠が約60名、芸術枠が約10名あり、指定の大学に合格すれば正式に採用されます。
入学一時金:30万円
奨学金:月額6万円

公益財団法人青井奨学会
指定高校の学校長の推薦者を対象に、家計状況や成績、作文などの書類選考を元に選ばれます。採用人数は年度によりますが、20名前後。指定大学には国立大学をはじめ、公立大学、私立大学も含みます。
入学一時金:30万円
奨学金:月額5万円

一般財団法人 ジェイティ奨学財団
書類審査・面接を経て選ばれます。指定の国公立大学内であれば、全学部が対象となります。採用人数は約10名で、医学部など6年制の学部の場合、奨学金は6年間支給されます。
入学一時金:30万円
奨学金:月額5万円

2018年から本格的に導入される文部科学省の「給付型奨学金制度」と、民間団体の「大学給付奨学制度」であれば、返済を気にすることなく奨学金を利用することができます。これらは、子どもの教育費を考えるうえで検討してみる価値がありそうです。

*1 独立行政法人日本学生支援機構法の一部を改正する法律案の概要

TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXTA

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