備える 2017.12.12 冬は乾燥でさらに注意! 防災に備えて見直す火災保険

冬は、暖房器具の使用や乾燥が原因とした⽕災に一段と注意する必要があります。消防庁のデータ(*1)によると、2016年に発生した住宅火災は1万1,317件で、その原因としては「こんろ」の2,077件、「たばこ」の1,442件に続いて、暖房器具である「ストーブ」が914件となっています。今回は、火災から資産を守る「火災保険(損害保険)」について考えましょう。

⽕災保険の必要性

火災の防止には、日頃からの心がけが大切であることは言うまでもありません。しかし、いくら気を付けていたとしても、周囲の家の火災からの「もらい火」で被害を受けるケースもあるでしょう。やはり自分の身を守るためには「火災保険」を上手に活用したいところです。

火災保険の補償範囲

火災保険が補償してくれる範囲について、正確に理解している人はどのくらいいるのでしょうか。基本的には⽕災のほか、落雷や破裂・爆発、⾵・雷・雪、⽔濡れ、衝突、盗難などが火災保険の対象になっています。

たとえば「隣家の火事が原因で自宅が半焼した」というケースや「隣家の火事に向けられた消防車の放水で被害を受けた」場合でも補償を受けることができるほか、「台風で屋根や雨どいが壊れた」「積雪で屋根が破損した」といったケースも、やはり補償の対象になる場合が多いのです。

今入っている火災保険が補償してくれている範囲を、もう一度きちんと見直してみて、漏れや無駄がないかどうかを確認しておきましょう。

火災保険の選び⽅

では、ここで選び方についても見ていきましょう。火災保険を選ぶときには、少なくとも以下の項目について注意しておくことが大切です。

1. 保険の対象:家屋や家財の所有者が保険をかけるのが基本です。持ち家の場合には建物、家財ともに⾃分が保険をかけることになりますし、賃貸の場合には、建物は⼤家さん、家財は⾃分ということになります。

2. 建物の構造:住宅物件は構造級別にマンションなどの「M構造」、鉄骨などの「T構造」、木造などの「H構造」の3種に分かれており、店舗併用住宅も1級から3級までのいずれかに分類されるかによって、保険料が変わってきます。

住宅物件
構造級別建物の種類保険料
M構造コンクリート造建物、コンクリートブロック造建物、れんが造建物、石造建物、耐火建築物の共同住宅建物

安い

 

 

高い

T構造コンクリート造建物、コンクリートブロック造建物、れんが造建物、石造建物、鉄骨造建物、耐火建築物(共同住宅建物以外)準耐火建築物、省令準耐火建物
H構造M、T構造に該当しない建物

各種資料を参考にし、編集部作成

一般物件(店舗併用住宅)
構造級別建物の種類保険料
1級コンクリート造建物、コンクリートブロック造建物、れんが造建物、石造建物、耐火被覆鉄骨造、耐火建築物安い

 

高い
2級鉄骨造建物、準耐火建築物、省令準耐火建物
3級1、2級に該当しない建物

各種資料を参考にし、編集部作成

3. 補償範囲:前項で述べた通り、補償の範囲についてはよく考えておくことが大切です。補償の範囲を広くすれば、当然保険料も高くなりますが、ほとんど可能性のない範囲を除外することによって、保険料を節約できることもあるわけです。

4. 建物の保険金:建物の評価基準には、新しく建て直す場合の「新価」と、新価から時間の経過による消耗分を差し引いた「時価」の2種類があります。火災保険の場合は、建て替えにかかる費用相当分の保険が降りる「新価」を使う場合が一般的です。

5. 家財の補償⾦:建物の場合、保険金額の範囲を保険会社が決めているのに対し、家財の補償金は比較的自由に金額設定が可能です。ただ、当然ながら火災などにあってしまった後、失ったものを再調達するために必要な金額が上限となるため、家財の金額の合計が500万円なのに1,000万円の補償に加入することはできません。仮に加入したところで、補償は500万円までとなります。

6. 保険加⼊期間:火災保険の加入期間は、1年から最長の10年までを選択することができます。一般的に長期契約の一括払いほど保険料は割安になります。長期契約をしていたのに、異動などで家を手放さなくてはならなくなった場合にも、経過期間に応じた中途解約返戻金が支払われ、損をするようなことはありません。

地震保険をセットすべきか

地震や火山の噴火、またはこれらに起因する津波などによる損害については、火災保険は適用されません。そこで地震保険をセットにすることが考えられるのですが、地震保険は倒壊・焼失した建物を建て直すための費用を直接的に補償するのではなく、あくまでも再建費用を補填するものであるという点に注意しておく必要があります。地震保険をセットできるのは、火災保険の保険金額の30%から50%程度になります。

火事の危険性が高まるこの季節に、手元の保険証券をもう一度ゆっくりとチェックしなおしてみることをおすすめします。

(*1) 2016年に発生した火災の概要

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TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXTA

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