備える 2018.03.09 保障はどこまで? 家族と自分のために考えたい「認知症保険」
認知症は歳を重ねれば重ねるほど発症する可能性が高くなる病気です。自分自身や家族の誰かが認知症になると、公的介護保険制度による給付があったとしても、治療費や介護費用などが経済的な負担になってしまいます。そこで、認知症によって家計の負担を軽減するために、認知症保険を考えてみましょう。
■認知症保険とは
厚生労働省の調査によると、日本の認知症患者数は、2020年には325万人まで増加すると予測されています。なお、65歳~69歳の有病率(ある時点で疾病を有している人の割合)は1.5%で、以後5歳ごとに確率が倍増すると言われています。日本は今後も少子高齢化の波を受け、患者数の増加が見込まれます。そんな時代背景を受けて、保険会社でも認知症に対応した保険商品の開発が行われています。それが認知症保険です。
保険会社からは介護保険も多数販売され、認知症も保障の範囲に入っているものもありますが、認知症保険はより認知症にフォーカスした内容だといえるでしょう。
認知症保険は、保険会社によって保障内容や加入要件、支払い要件が異なります。
・受取方法
認知症保険には一時金と年金形式の2種類の受取方法があります。なお、それらの給付金は認知症だと診断が確定したらすぐに受け取れる保険会社もあれば、認知症だと判断されてから一定期間(180日間)症状が継続しなければ受け取れない保険会社もあります。加えて、受け取りの判定基準も各保険会社によってさまざまです。
・保障の対象
また、認知症保険は認知症のすべての種類を保障対象としてくれるわけではないことには注意が必要です。どの認知症が対象となるのかは各保険によって異なりますので、加入前・加入中には対象となる認知症や保障内容を確認しておきましょう。
■認知症保険にはどのようなものがあるの?
前述したように、認知症保険はいくつかの保険会社から販売されています。ここでは、朝日生命の「あんしん介護 認知症保険」、太陽生命の「ひまわり認知症治療保険」、メットライフ生命の「終身医療保険の終身認知症診断一時金特約」について、どのような違いがあるのかを考えてみましょう。
商品名 | あんしん介護 認知症保険 |
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保険の種類 | 保険商品 |
保険期間 | 終身、定期 |
保険料の区分 | 標準体 |
給付金の支払われ方 | 年金、一時給付金 |
給付の条件 | 器質性認知症(脳の変化による認知症で、人、場所、時間のいずれかがわからなくなるなどの症状がある)と診断が確定された時で、日常生活自立度判定基準のランクがⅢ以上と判定された時 |
保障範囲 | 要介護1で、器質性認知症と診断が確定された時 |
保障の対象外の期間 | なし |
商品名 | ひまわり認知症治療保険 |
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保険の種類 | 保険商品 |
保険期間 | 終身、10年 |
保険料の区分 | 引受基準緩和型 |
給付金の支払われ方 | 一時給付金 |
給付の条件 | 器質性認知症になり、意識障害がない状態で、見当識障害があるとの診断が確定され、その状態が180日継続した時 |
保障範囲 | 器質性認知症 |
保障の対象外の期間 | なし |
商品名 | 終身認知症診断一時金特約 |
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保険の種類 | 特約 |
保険期間 | 終身 |
保険料の区分 | 商品によって、異なる。終身医療保険の「Flexi S」の場合は標準体、「Flexi Gold S」の場合は引受基準緩和型 |
給付金の支払われ方 | 一時給付金 |
給付の条件 | 診断確定された時 |
保障範囲 | メットライフ生命で定める所定の認知症 |
保障の対象外の期間 | 180日 |
朝日生命と太陽生命は保険商品として独立していますが、メットライフ生命はあくまでも医療保険の特約であることに注意しましょう。
上記以外にも、メットライフ生命からは「ロングタームケア」、アメリカンファミリー生命(アフラック)からは「スーパー介護年金プランVタイプ」などが販売されています。直近では、2018年2月26日にはエーザイとセント・プラス少額短期保険から「認知症のささえ」が販売開始になるなど、今後も同様の商品が増える可能性も考えられます。
■認知症保険は加入候補として検討する
今後、認知症保険の需要はますます高まると考えられます。ただし、認知症は介護との関連性が高くなるので、保険に加入する際は介護に対する保障も含めての検討も必要となるでしょう。
高齢になるほど、さまざまな病気やケガに対する心配は増します。しかし、あらゆる症状に対応できるように保険であらかじめ備えようとすれば、いくらお金があっても足りません。
そこで、もし認知症保険を選ぶ場合は、公的保障や自分が入っている介護保険などで保障が網羅されていない保障内容が含まれる認知症保険を選択するのがよいでしょう。自分にとって必要な保障内容を検討し、自分と家族の将来に備えましょう。
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