備える 2018.04.27 フリーランスが優遇される税制とは? 2020年から変わる税制をチェック

「平成30年度 税制改正の大綱(※)」で、2020年1月に所得税の見直しが行われることが発表されました。これによって年収が850万円を超える会社員は増税になります。一方で、個人事業主やフリーランスなどの自営業者は減税になる予定です。具体的にはどのようになるのでしょうか。

■2020年から変更される対象は?

2020年に行われる所得税の見直しの目的は、働き方の違いによる税の負担の差をなくすことであると発表されました。この見直しによって税率が変更されるのはどのような職業なのでしょうか?変更内容を確認してみましょう。

◎基礎控除

基礎控除とは、会社員、個人事業主、フリーランスの区別なく、収入に応じて一律に受けられる控除です。これまでの控除額は38万円でしたが、今後は10万円引上げとなり、48万円になる見込みです。

基礎控除の金額が上がると、その分だけ所得税の負担が軽くなります。

また、所得が2,400万円を超えると基礎控除の額が減り、2,500万円を超えると基礎控除が受けられないことも発表されています。

◎給与所得控除

給与所得控除の対象は、会社員や公務員など給与所得を得ている人です。給与の一部が、備品や仕事用のスーツの購入など必要経費として使われていることを考慮し、一定額の控除を受けることができます。

2020年の変更後は、この給与所得控除の金額が10万円引下げられます。また、給与所得控除の上限額を受けることができる給与の収入が1,000万円から850万円に変更となり、控除の限度額も220万円から195万円に引下げとなります。

この変更に伴い、年収が850万円を超えた場合は増税になります。900万円の収入がある人は1万5,000円程度、1,000万円の場合は4万5,000円程度、1,500万円の場合は6万5,000円程度が増税される見込みです。

◎青色申告特別控除

フリーランス、個人事業主が対象の控除です。青色申告をした場合、これまでは65万円の控除がありましたが、変更後は55万円になります。

ただし、所得税の確定申告、貸借対照表、損益計算書等をe-Taxを使って申告すると、控除額は現行の65万円のままになる予定です。

◎公的年金等控除

公的年金等控除とは、年金収入がある高齢者が対象の控除です。こちらも控除の金額が10万円引下げになります。更に年金収入が1,000万円以上の場合の控除の限度額が、195万5,000円に定められます。

また、年金収入と給与の両方を受け取っている場合、控除はどちらか一方に制限されます。この変更で、年金収入が1,000万円以上の場合と、給与等の所得が1,000万円以上の場合は増税となります。

■今後も高所得の会社員は高い税金が課される傾向⁉

冒頭でもお伝えしたとおり、2020年に所得税の見直しが実施されると、収入が850万円を超える会社員は実質増税、その一方で、フリーランスの税金の負担が減ることが分かりました。

更に、平成30年度 税制改正の大綱には「働き方の多様化の進展状況なども踏まえ基礎控除への更なる振替を検討する」との一文もあり、この所得税の見直しは2020年以降も続けられることが明記されています。

今後も高所得の会社員の増税が続くとなると、会社組織から離れて独立し、フリーランスとして働く人が増える可能性も考えられます。そして、徐々に働き方の幅が広がり、ライフスタイルがますます多様化することも予想されます。

■個人も働き方の多様化に対応することが大事

所得税の見直しをきっかけに、世の中の働き方が少しずつ変わっていく可能性がみえてきました。現在、会社員の人も、将来、税の負担額が増えたのをきっかけに独立やフリーランスへの転向を考えるときがくるかもしれません。

いざ、そのときになって慌てないために今からできることは、どんな状況にも対応していくための貯蓄と人脈作りではないでしょうか。ライフプランの見直しとともに、マネープランも見直し、未来への準備を始めてみてはいかがでしょうか?

平成30年度 税制改正の大綱

TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXTA

マネチエでは身近なお金の話題をお届けしています
この記事を気に入っていただけたらフォローをお願いします!

ページトップ