備える 2018.06.08 実はこんなにある! 自治体による子どもの教育支援
子どもの教育にかかる費用は思った以上に高く、家計にとっても負担が大きくなります。日本は年功序列の給与体系が徐々になくなり、実績に基づく給与支給が行われるようになってきました。そのため、過去のように年齢とともに給与が上がり、子どもの成長に合わせて学費を貯めることも払うこともできる状況ではなくなりつつあります。しかし、かわいい我が子には良い教育を受けさせたいというのが親心です。そこで、国や自治体の教育支援を活用しながら、子どもの教育を考えてみましょう。
■幼児教育では「私立幼稚園就園奨励費補助金」
まずは、子どもの幼児教育について考えてみましょう。「私立幼稚園就園奨励費補助金」は幼稚園の入園料・保育料を補助する制度です。
平成24年4月にスタートした「子ども・子育て支援新制度」(子どもの年齢や親の仕事時間に応じた多様な保育の場を用意し必要な方に必要な保育を提供する制度)により通園する園や自治体によって利用可能な支援が異なりますのでお住まいの市区町村で確認しておくことが肝心です。なお、手続きは幼稚園を通じて行います。参考に、横浜市の例を見てみましょう。
支援対象園児 ※右記を全て満たす方 | ・横浜市内に住民票がある ・実際に横浜市内に住んでいる ・私学助成を受ける私立幼稚園に在園している ※「子ども・子育て支援新制度」に移行している幼稚園を除く |
所得基準 | 子どもの数 (※1) | 補助金額(年額) | |
右記以外の世帯 | ・ひとり親 ・在宅障害児・者のいる世帯 | ||
生活保護世帯 | 1人目~ | 30万8,000円 | |
市民税非課税世帯 | 1人目 | 27万2,000円 | 30万8,000円 |
2人目~ | 30万8,000円 | ||
市民税所得割額により | 1人目 | 4万8,000円~13万9,200円 | 4万8,000円~27万2,000円 |
2人目 | 15万4,000円~22万7,000円 | 15万4,000円~30万8,000円 | |
3人目~ | 30万8,000円 |
参照:横浜市HP
※1:税額区分により子どもの数に換算する年齢に上限が設けられている
ひとり親世帯や2人以上の子どもがいる世帯については多くの自治体で支援の充実が図られてきています。よく確認して利用しましょう。
■就学援助制度
支援対象 ※国公立の小・中学校に通う児童生徒のいる世帯で右記の要件のいずれか1つに当てはまる | ・年間収入額が基準以下である(※1) ・児童扶養手当を受給している ・生活保護を受給している ・疾病、失業その他特別な事情がある |
※1:世帯人数と年齢によって世帯ごとに基準額が異なる
対象費目 | 学年 | 支給額(円) |
学用品費 | 全学年 | ・小1:1万1,420円(年額) ・小2~小6:2万2,320円(年額) ・中1:2万2,320円(年額) ・中2~中3:2万4,550円(年額) |
新入学学用品費 | ・小1 ・小6 ・中3 | ・小1:4万600円(未支給の場合のみ) ・小6:4万7,400円 ・中3:3万円 |
校外活動費 | 全学年 | ・保護者が負担した額 |
(プレ) セカンドスクール費 | ・小4 ・小5 ・中1 | |
移動教室費 修学旅行費 | ・小6 ・中3 | |
体育実技用具費 | 全学年 | |
卒業記念品費 | ・小6 ・中3 | |
通学費 | 該当者のみ | |
給食費 | 全学年 | ・認定日以降の給食費 |
参照:武蔵野市HP
※申込みは個人で申請書を教育委員会の担当部署へ郵送もしくは持参
■高等学校等就学支援金
高等学校等就学支援金は、すべての高校生が安心して学校生活が送れるように国が支援する制度です。市町村民税の所得割税額が30万4,200円(世帯年収約910万円)未満という制限があります。この支援によって公立高等学校に関しては授業料相当額を国が負担する事で相殺されます。(参照:文部科学省HP)
・国立高等学校、国立中等教育学校の後期課程 | ・月額9,600円 |
・公立高等学校(定時制) ・公立中等教育学校の後期課程(定時制) ・公立高等学校(通信制) ・公立中等教育学校の後期課程(通信制) | ・月額2,700円 ・月額520円 |
・国立・公立特別支援学校の高等部 | ・月額400円 |
・上記以外の支給対象高等学校等 | ・月額9,900円 |
参照:文部科学省HP
※授業料が上記に達しない場合には、授業料を限度として支給
また、私立高校などに通う生徒の世帯には税額負担の割合に応じて支給額が1.5倍~2.5倍になる加算支給もありますので、学校から渡される書類で確認し申請をしましょう。
とは言っても私立高校に関しては授業料の負担が家計を圧迫することが考えられます。その際の支援にはどのようなものがあるのでしょうか?
■私立高校進学時には?私立高等学校等授業料軽減助成金
私立高校へ通う世帯の経済的負担を軽減する支援、私立高等学校等授業料軽減助成金は都道府県ごとに条件は異なります。東京都の場合、税額負担の割合に応じて15万2,000円~33万200円の範囲で軽減されます。詳細や申請方法は在学高からのお知らせで確認しましょう。
■自治体の奨学金返還支援事業もある
奨学金返還支援事業は大学などへの進学時に利用した奨学金の返還を支援してくれる制度です。地方大学への進学や地元企業への就職が条件となるのが一般的です。
名称 | とちぎ未来人材応援事業 |
対象者 | 大学・大学院修士・短期大学・高等専門学校の卒業前年度生 |
対象業種 | 県内に本店または支店のある製造業 |
対象奨学金 | 日本学生支援機構第一種奨学金・栃木県育英会奨学金 |
助成金額 | 限度額70万円~150万円 |
審査 | 書類審査及び面接 |
■全国にあるユニークな学び支援
最後にこんな支援をご紹介します。これから益々重要度が増していく英語教育。いくつかの自治体では「実用英語技能検定(英検)」の受験料の全額、もしくは一部を負担する小・中学生の実用英語技能検定費用の補助があります。(参考:東京都北区HP)
また、スポーツの活性化を図る目的で全国大会などに出場した際の交通費と宿泊費の一部を補助するという自治体もあり2020年のオリンピックイヤーに向けた意識が感じられます。他にも、給食費(参考:茨城県久慈郡大子町HP)や通学定期代(参考:茨城県かすみがうら市HP)の補助など自治体ごとにさまざまな支援制度があります。
定住促進や子育て応援、住みやすさナンバーワンなどを意識して国や自治体も時代に応じた様々な支援を取り入れています。お住まいの自治体の支援を利用しながら我が子の未来を見据えた子育てプランを考えていきましょう。
TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXTA
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