備える 2018.11.30 いよいよ結婚!親が援助してくれる資金に税金はかかるの?

結婚に向けて準備では、親から資金援助してもらうこともあるでしょう。しかしお金を援助してもらうとなると気になってくるのが「税金」のこと。今回は結婚にかかる費用と親から資金援助を受けた場合、つまり贈与を受けたときの扱いについて説明します。

■結婚にはいくらかかる?みんなの結婚費用を見てみよう

「ゼクシィ結婚トレンド調査2017(リクルートブライダル総研調べ)」によると、「結納・婚約~新婚旅行にかかった費用」は全国平均で463万3,000円です。「挙式、披露宴・披露パーティ総額」は354万8,000円、次いで新婚旅行で60万8,000円です。

もちろん、地域や規模によって費用は異なりますし、かかるお金は式や披露宴だけではありません。人によっては結婚式以外にも、両家の顔合わせや、婚約指輪・結婚指輪なども必要です。さらに新生活準備費用のことも考えておいたほうがいいでしょう。

「新婚生活実態調査2017(リクルートブライダル総研調べ)」によれば、新婚生活準備費用は平均56.3万円です。新生活ともなれば、家具・家電なども自分たちのライフスタイルにあわせて新調したいと思う人もいます。このことから結婚にはさまざまな資金がかかることが分かります。

総じてみるとかなりの出費になるようですが、同じくゼクシィの調査では、パートナーと2人で貯めている平均の貯蓄総額は294万2,000円となっています。先ほどの「結納・婚約~新婚旅行にかかった費用」と比べてみると、およそ150万円足りないことになります。

そこで、親をはじめとした親族から援助を受ける人もいます。結婚資金援助の平均は182万円になります。また披露宴・披露パーティーで受け取るご祝儀の額は平均230万7,000円とされています。

これらをあわせると、2人の貯蓄総額(294万2,000円)+資金援助(182万円)+ご祝儀額(230万7,000円)となり、「706万9,000円」という大きな額が結婚で動くと考えられます。

■親からの結婚援助額が年間110万円に納まる場合

親から「結婚資金の足しに」と100万円の援助を受ける場合を考えてみましょう。

このとき、親から他に(結婚資金以外の目的で)贈与してもらった金額と合算して年間110万円以内になる場合は、贈与税を支払う必要はありません。これは、年間110万円までは贈与税が非課税になるという「暦年贈与」制度によるものです。たとえば昨年100万円の援助を受け、さらに今年100万円追加で援助を受けたとしても、その年の合計がそれぞれ110万円以内に納まるため、非課税となり贈与税を支払う必要はありません。

年間の贈与額が110万円以上になる場合は、以下のようになります。基礎控除が110万円ですので、贈与額(贈与財産の価格)から基礎控除額を引いた額が課税価格となります。

暦年贈与
課税価格(贈与額-基礎控除額)税率控除額
200万円以下10%なし
200万円超から400万円以下15%10万円
400万円超から600万円以下20%30万円
600万円超から1,000万円以下30%90万円
1,000万円超から1,500万円以下40%190万円
1,500万円超から3,000万円以下45%265万円
3,000万円超から4,500万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円

■親からの援助額が年間110万円以上でも非課税になる条件とは

結婚費用を自分たちで貯めたいと思っても、授かり婚などで結婚と妊娠・出産が重なる場合があります。そのとき、急な新生活で資金の準備が不十分であるために、結婚・挙式費用から子育て資金までを親から援助してもらう人もいることでしょう。この場合、以下のような条件をクリアすると、贈与税が非課税になります。

*以下、内閣府HPより
・結婚、妊娠、出産、育児に必要なお金であること
・平成27年4月から平成31年3月の間に金融機関を通じて贈与すること
・子どもの年齢が20歳以上50歳未満であること
・贈与金額は1,000万円まで(そのうち300万円が結婚関係)非課税

これらの条件を満たせば、1回のまとまったお金で1,000万円までの贈与が非課税になります。結婚資金という目的での贈与が対象ですから、何に使ってもいいわけではありません。認められる使途には以下のようなものがあります。

●結婚関係の資金使途

挙式等の費用、新居の住居費、引越し費用
※結納や新婚旅行、新居の駐車場代などは非課税の対象にならない

●妊娠、出産、育児関係

不妊治療費用、妊娠にかかる費用、出産にかかる費用、産後ケア費用、子どもの医療費、ベビーシッター費含む子どもの保育費

■結婚・育児資金の1,000万円までの一括贈与の注意点

条件を満たせば幅広い活用方法のある結婚・育児資金の1,000万円までの一括贈与ですが、これにはいくつかの注意点があります。

●親が亡くなると、残高は相続資産に加算される

親が亡くなったとき、1,000万円の贈与資産のうち600万円までしか使用していなければ400万円分は相続財産として加算される

●子どもの年齢が50歳になると終了される

1,000万円贈与されたとしても、50歳到達時に800万円しか活用していなかったら、残りの200万円は贈与税として課税される

●金融機関での手続きが必要

制度を活用する金融機関(銀行、信託銀行、証券)と契約を結び、専用口座を開設する必要がある

その際の提出物は以下の通り。

  • 親子関係の分かる書類(戸籍抄本、戸籍謄本)
  • 本人確認書類(免許証等)
  • 結婚・子育て資金非課税申告書類(親が専用口座にお金を預け入れするまでに)
  • 贈与契約書

また、贈与を受けた後、結婚や子育てのために使った資金が分かる領収証や、その費用にかかったと分かる書類を期限内に提出する必要があります。提出期限は以下のいずれか。

・結婚や子育て資金を実際に支払った金額を専用口座から払い出すことを選択する場合
→ 領収書などに書かれた支払年月日から1年を経過する日まで

・それ以外の方法を選択する場合
→ 領収書などに記載された支払年月日の属する年の翌年の3月15日まで(確定申告終了日まで)

期限までに金融機関に提出することによって非課税になるので、手続きを忘れないようにしましょう(提出しないと非課税になりません)。

■せっかくの資金援助、受けるならよりお得に

結婚にはお金がかかるので、親からの資金援助はありがたいもの。その金額の大小にかかわらず、どうすれば親にとっても自分たちにとっても良い結果になるのかを考えましょう。

今回紹介したような暦年贈与を使うパターンもあれば、結婚・子育てのための非課税資金の制度を活用するのも手です。あらかじめよく確認するとともに、不安だったり、分からないことがあったりする場合は、金融機関やファイナンシャル・プランナーに相談するのもよいでしょう。

TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXTA

マネチエでは身近なお金の話題をお届けしています
この記事を気に入っていただけたらフォローをお願いします!

ページトップ