備える 2019.01.23 自営業者・フリーランスが毎月400円の負担で年金を増やせる「付加年金」とは?

老後において収入の柱になる公的年金。会社員には国民年金に上乗せして給付される厚生年金がありますが、自営業者・フリーランスは厚生年金に加入することができません。しかし、自営業者やフリーランスにも、老後のためになるべく多くの年金を受給したい人は少なくないはず。毎月400円の支払いで年金の受給額を増やせる「付加年金」という仕組みを紹介します。

■国民年金と厚生年金の違い

公的年金制度はよく建物に例えられ、1階部分は国民年金、2階部分が厚生年金の「2階建て」といわれます。国民年金の被保険者になれるのは、基本的に日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人。

細かく分けると3種類あり、自営業やフリーランスは第1号被保険者、会社員や公務員などの給与所得者で厚生年金加入者は第2号被保険者。専業主婦(夫)やパートなどで働く人のうち第2号被保険者に扶養されている配偶者が第3号被保険者です。

第1号被保険者は、毎月1万6,340円(2018年度)の保険料を支払い、10年以上納付すると受給権を得られます。65歳から老齢基礎年金を一生涯受け取ることができます。

20歳から60歳までの40年間、きちんと保険料を支払った場合の老齢基礎年金の額は、1年あたり77万9,300円(2018年4月分から)です。受給資格を満たしていない場合や受け取る年金額を増やしたい場合は、任意加入被保険者として60歳以降も保険料を支払うことができます。

第2号被保険者は、報酬によって保険料が決まる仕組みになっていて、給与から保険料が差し引かれています。老後は老齢基礎年金に上乗せで老齢厚生年金が支給されます。第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養されてるので保険料の支払い義務はありません。

■付加年金とは自営業者・フリーランスにとっての上乗せ年金

自営業者やフリーランスには、会社員や公務員などのサラリーマンにはある老齢厚生年金という上乗せ年金がありません。自営業者・フリーランスの年金は、老齢基礎年金だけです。老齢基礎年金だけでは不安という自営業者・フリーランスが、毎月400円の負担上乗せで将来受給できる年金を増やすことができる「付加年金」という制度があります。

付加年金に加入すると、老齢基礎年金に加えて「200円×付加保険料納付済期間の月数」の金額が年間受給金額として上乗せされます。例えば、10年間付加保険料を納付した場合、支払う保険料の総額は400円×120ヵ月=4万8000円になります。10年間付加年金に加入していた場合、年金受給の際には年間で2万4000円 (200円×120ヵ月)の付加年金が加算されることになります。

つまり年金を2年間受け取れば、それ以前に支払っていた付加保険料と同額が受給できるため、その後はずっと得をすることになります。

■付加年金に入れるのはどんな人か

付加年金は国民年金独自の制度なので、第1号被保険者(自営業者・フリーランス)と任意加入被保険者しか入れません。ちなみに会社経営者は第2号被保険者なので加入できません。

無職や学生でも20歳以上60歳未満なら第1号被保険者なので、付加保険に入ることができます。ただし、収入が少ないなどの理由で国民年金保険料の支払いを免除されている人や、国民年金基金に加入している人は付加年金には加入できません。

また農業者年金の被保険者は、付加保険料を支払う義務があります。

■付加年金は役所や年金事務所で申し込める

付加年金に入りたい場合、市区町村役場の窓口や年金事務所に申し出ます。手続きの際に必要なのは、年金手帳と印鑑(シャチハタ不可)、マイナンバーカードや身分証明書です。

国民年金付加保険料納付申出書に必要事項を記入し、提出すると手続きは終了です。

手続きを終えてしばらくすると、年金事務所から国民年金付加保険料納付申し出受理通知書が送られてきます。その後、納付書も届くので忘れず納めるようにしましょう。翌年度からは国民年金保険料に加算されているので手続きは不要です。

■「年金は難しい」と先送りせず対策は早めに

自営業者やフリーランスは、厚生年金がある会社員や公務員以上に自分で老後の備えを考え、対策しなければいけません。年金制度は難しいと先送りにせず、付加年金の加入も含め検討することで、安心して老後を迎えられるようにしたいものです。

TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXTA

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