貯める 2016.09.05 年収別、確定拠出年金で掛金毎月2万3,000円の節税効果

最強の節税商品とも言われる確定拠出年金であるが、実際どれ位の節税効果があるのか気になる方も多いだろう。そこで、今回は勤務先で企業年金を採用していない場合に加入できる確定拠出年金の個人型を例に節税効果を紹介する。

確定拠出年金とは?

確定拠出年金は、拠出者が一定の掛け金を支払い、年金の受取人である被保険者が自ら運用方法を決定するという年金だ。年金の受け取り額は運用結果によって変わってくるため、大きなリターンを得ることもあれば、損失が生じることもある。確定拠出年金には、企業型年金と個人型年金があるが、今回は個人型確定拠出年金に加入した場合の節税効果について見ていく。ちなみに、個人型年金に加入できるのは、自営業者と、勤め先に企業年金のない会社員である。

なぜ節税効果があるのか?

確定拠出年金は、自分で運用方法を選べるというのが魅力だが、節税効果があるということも大きな魅力となっている。というのも、確定拠出年金は、(1)掛け金支払いの段階、(2)運用期間中、(3)年金受取時点の3つの段階で節税効果が認められるからだ。

なぜ、これだけ節税が認められているかというと、老後の生活資金を確保する目的で自助努力する人に対しては国も税制で支援し、社会保障費の増大に歯止めをかけたいという狙いがあるからだ。

3つの段階での節税はどれも魅力的な税制優遇であるが、中でも掛金は全額所得控除の対象なので、支払った分は全額所得から差し引くことができる。つまり、年間の所得から確定拠出年金の年間の掛け金を控除した額に税金がかかることになる。

【具体的計算例】

確定拠出年金の個人型で、企業年金を行っていない会社の従業員の掛け金限度額は、2万3,000円なので、2万3,000円の掛け金を支払った場合の年収別の節税効果について見ていこう。

サラリーマンの場合、給与の収入金額から給与所得控除額を差引き給与所得の金額が算定される。そこから所得控除額を差し引き課税所得が計算される。所得控除には、基礎控除、社会保険料控除、生命保険料控除、医療費控除などがある。そして、課税所得額に税率を掛けて税額が算定される。これを算式で表すと次のようになる。

給与支払額−給与所得控除-所得控除=課税所得
課税所得×税率=所得税額

なお、所得税の税率は、累進課税であり所得金額に応じて異なる。具体的には、所得に応じて5%から45%の7段階に区分されている。税額が算定された後、さらに税額控除などもあるが、基本的には上記算式で所得税額が決定される。所得控除の内容や金額については個々人で異なるので、今回のシミュレーションでは基礎控除(38万円)以外は無視して算定する。

(1)300万円の場合、「4万1,400円」の節税効果

【確定拠出年金を支払わない場合】
給与支払額が300万円の場合、給与所得控除額は108万円になる。
課税所得=300万円-108万円-38万円=154万円
所得税=154万円×5%=7万7,000円
住民税=154万円×10%=15万4,000円
(所得税+住民税)=23万1,000円

【確定拠出年金を毎月2万3,000円払った場合】
確定拠出年金の支払額=2万3,000円×12カ月=27万6,000円が所得から控除されることになる。

課税所得=300万円-108万円-38万円-27万6,000円=126万4,000円
所得税=126万4,000円×5%=6万3,200円
住民税=126万4,000円×10%=12万6,400円
(所得税+住民税)=18万9,600円

23万1,000円-18万9,600円=4万1,400円の節税効果を得ることができる。

(2)500万円の場合、「5万5,200円」の節税効果

【確定拠出年金を支払わない場合】
給与支払額が500万円の場合、給与所得控除額は154万円
課税所得=500万円-154万円-38万円=308万円
所得税=308万円×10%-9万7,500円=21万500円
住民税=308万円×10%=30万8,000円
(所得税+住民税)=51万8,500円

【確定拠出年金を毎月2万3000円払った場合】
課税所得=500万円-154万円-38万円-27万6,000円=280万4,000円
所得税=280万4000円×10%-9万7500円=18万2,900円
住民税=280万4000円×10%=28万400円
(所得税+住民税)=46万3,300円

51万8,500円-46万3,300円=5万5,200円の節税効果を得ることができる。

(3)800万円の場合、「8万2,800円」の節税効果

【確定拠出年金を支払わない場合】
給与支払額が800万円の場合、給与所得控除額は200万円
課税所得=800万円-200万円-38万円=562万円
所得税=562万円×20%-42万7,500円=69万6,500円
住民税=562万円×10%=56万2,000円
(所得税+住民税)=125万8,500円

【確定拠出年金を毎月2万3000円払った場合】
課税所得=800万円-200万円-38万円-27万6,000円=534万4,000円
所得税=534万4000円×20%-42万7,500円=64万1,300円
住民税=534万4000円×10%=53万4,400円
(所得税+住民税)=117万5,700円

125万8,500円-117万5,700円=8万2,800円の節税効果を得ることができる。

④1000万円の場合、「9万1080円」の節税効果

【確定拠出年金を支払わない場合】
給与支払額が1,000万円の場合、給与所得控除額は220万円
課税所得=1,000万円-220万円-38万円=742万円
所得税=742万円×23%-63万6,000円=107万600円
住民税=742円×10%=74万2,000円
(所得税+住民税)=181万2,600円

【確定拠出年金を毎月2万3000円払った場合】
課税所得=1000万円-220万円-38万円-27万6,000円=714万4,000円
所得税=714万4,000円×23%-63万6,000円=100万7,120円
住民税=714万4,000円×10%=71万4,400円
(所得税+住民税)=172万1,520円

181万2,600円-172万1,520円=9万1,080円の節税効果を得ることができる。

最後により簡単に計算する方法を紹介

年収300万円の人なら4万1,400円、年収1,000万円の人なら9万1,080円も節税になるのである。仮に30年間所得が変わらないとすれば、年収300万円の人で4万1,400円×30年間=124万2,000円、年収1,000万円の人なら9万1080円×30年=273万2,400円も節税になる。自分のためにお金を積み立ててこれだけの節税が得られることを考えると下手な運用をするより割が良いといえる。

なお、上記計算は所得税課税のしくみを理解してもらうために丁寧に書いたが、自分の所得税率がわかっている場合には「年間の確定拠出年金掛金額×(所得税率+住民税率)」で求められる。たとえば、年収300万円の人であれば、27万6,000円×(5%+10%)=4万1,400円といった具合だ。

税率を見るときに注意して欲しいのは、課税所得と年収は違うということである。年収1,000万円であっても、課税所得は給与所得控除や所得控除(社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除など)を差し引いた額なので、所得税率表の「900万円を超え 1,800万円以下」である33%にはならないということである。給与所得控除だけでも220万円もあるので、所得控除額を考慮しなくても「695万円を超え 900万円以下」である23%になるのだ。

税金の計算というと難しいというイメージがあるかもしれないが、確定拠出年金は大きな節税効果があるので、上記の例を参考に検討してみてはいかがだろうか。

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TEXT:ZUU Online
PHOTO:PIXTA

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