学ぶ 2018.08.03 会社を退職して困ったあなたにお伝えしたい、生活を支援してくれる給付金
会社を退職したものの次の仕事がなかなか決まらないと、貯金がどんどん減って不安が募るものです。落ち着いて転職活動ができなくなるかもしれません。そのような事態にならないように、退職した人の生活を支援する制度を紹介します。
■会社を退職したときの支援
◎失業給付(基本手当)
失業給付(基本手当)は、再就職が決まるまでの生活を安定させるための給付金です。
対象や条件 | ・働く意思と能力があること ・原則として離職日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12カ月以上あること |
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手続方法 | ハローワークに申請 |
給付金額 | 基本手当日額×給付期間(上限あり) ※基本手当日額は賃金日額×給付率で計算 ・賃金日額:離職前6カ月間の賃金(ボーナスは除く)を180で割った額 ・給付率:60歳未満の場合50%~80%。離職時の年齢や賃金によって異なる ※給付期間は離職理由や雇用保険加入期間、年齢等により異なる (自己都合退職で加入期間が10年未満の場合は90日) |
◎個別延長・地域延長給付
再就職するにあたって不利な状況である場合、都道府県によっては個別延長給付や地域延長給付があります。対象や要件は、都道府県によって異なります。
なお、2016年度までは暫定措置として個別延長給付制度を採用していましたが、17年度から制度変更があり、恒久的な個別延長給付と暫定措置としての地域延長給付が用意されました。ここでは秋田県の給付を紹介します。
個別延長給付 | 地域延長給付 | |
対象や条件 | 障害を持っている人(就職困難者を除く)や災害被害に遭った人 | 雇用機会が不足するとして指定された地域内に居住する人(暫定措置で、2021年度までに離職した人が対象) |
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手続方法 | ハローワークに申請 | |
給付金額 | 基本手当と同額(給付期間は原則として60日) |
◎住宅確保給付金
収入がなく家賃を払えないような場合に、家賃相当額を支給してもらうことができます。
大きくは下記の条件となりますが、給付金額がそれぞれの市区町村で異なるので、詳しくは市区町村のホームページをご確認ください。
対象や条件 | 働く意思と能力がある離職者で、次のすべての要件に該当する人 ・住居を喪失した、または喪失する恐れがあること ・申請時に65歳未満で、かつ離職の日から2年以内であること など |
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手続方法 | 自立相談支援機関(地域により名称が異なる)に申請 |
給付金額 | 賃借する住宅の家賃相当額(上限あり) ※給付期間は原則3カ月(要件を満たせば、最大9カ月の延長が可能) |
◎総合支援資金(住宅入居費)
収入がなく、住宅の賃貸契約を結ぶために必要な資金を支払えない場合に貸し付けを受けることができます。
対象や条件 | 自立相談支援事業などによる支援を受けるとともに、社会福祉協議会とハローワークなど関係機関から、継続的な支援を受けることに同意していること。ハローワークで求職登録していることなど |
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手続方法 | 市区町村社会福祉協議会に申請 |
貸付金額 | 40万円まで |
◎国民年金保険料免除・猶予制度
国民年金保険料の支払いが困難な場合は、免除や猶予の制度を利用することができます。(参考:国民年金機構)
保険料免除制度 | 保険料納付猶予制度 | |
対象や条件 | 申請者が20歳以上50歳未満で、本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定額以下の人 | 20歳以上50歳未満で、本人・配偶者の前年所得が一定額以下の人 |
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手続方法 | 市区町村の国民年金担当窓口に申請 | |
内容 | 所得額により、保険料の全額、4分の3、半額、4分の1のうちいずれかの割合を適用し、免除する ※老後の受取年金額は、免除期間については国庫負担分(2分の1)と支払いに応じた額を受け取ることができる | 猶予された保険料は10年以内にさかのぼって払う後払い制度 ※未納となった場合は、国庫負担分(2分の1)を含めて受取年金額が減る |
■会社が倒産した場合は、未払い賃金立替振替制度の検討も
倒産による解雇で賃金が支払われていない場合、一定範囲について支給される制度があります。
対象 | ・法律上の倒産の場合は倒産について裁判所への申し立てが行われた日、事実上の倒産の場合は労働基準監督署への認定申請が行われた日の6カ月前から2年間に退職した人 |
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手続方法 | 労働基準監督署に申請を行い、労働基準監督署長による確認が終わったら、独立行政法人労働者健康安全機構に立替払の請求を行う |
支給額 | 未払賃金の額(ボーナスは除く)の8割 ※上限あり |
上記の例は稀かもしれませんが、一事が万事ともいいます。あらかじめ知っておくことで、万一のことが起きたときにも対応できるでしょう。
■転職は計画を立てて行おう
失業して困窮したときの公的支援制度は数多くあります。しかし、細かな条件があり、必ず支給されるとは限りません。会社を退職してもすぐに転職できると考えて、転職活動をしようと考えている人は、退職後数カ月は生活していけるゆとりを持っていたほうが安心に繋がります。
もしも、転職活動がうまく行かずに無職の状態が長引きそう・貯蓄が底をつくような事態になったら、上記のような支援制度をうまく活用していきましょう。
生活支援が受けられたとしても、働いていない期間が長引けば長引くほど、次の就職先が決まらないおそれもあります。そのため、生活支援制度を受けられるといっても、心が折れないうちに次のキャリア形成ができるようにするのがよいかもしれません。
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TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXTA
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