増やす 2017.05.25 「金利がいい」と飛びつくと落ちる、外貨預金の落とし穴!

銀行にお金を預けた場合に受け取ることができる利子は、メガバンク3行で、「普通預金が年率0.001%、定期預金なら年率0.01%」というのが一般的です。このような低金利時代にあって、「外貨預金」の「高金利」や「為替変動でも利益のチャンスが」などのキャッチフレーズは、魅力的に感じるのではないでしょうか。そこで「外貨預金」の真価について、さまざまな角度から検証してみましょう。

「外貨預金」とはどのようなものなのか

そもそも「外貨預金」には、どのようなものがあるのでしょうか。一例として三菱東京UFJダイレクトの場合を見てみましょう。(*1)

扱われている外貨は米ドルやユーロなど6種類の通貨で、米ドルの場合の利率を見ると、3万米ドル相当額未満の場合には普通預金が0.2%、初回優遇金利を適用した1年定期なら0.5%などとなっています。さらに10万米ドル相当額以上の場合には、1年定期の金利は0.9%に上昇します。

最も利率が高いのは、ニュージーランド(NZ)ドルです。NZドルなら普通預金が0.3%、3万NZドル相当額未満の1年定期は0.7%、10万NZドル相当額以上なら1.2%となっています。円建ての預金に比べると、利率が高いことが明らかです。

ネット銀行のソニー銀行は、ブラジルレアルや人民元、南アフリカランド(南アランド)などを加えた計12種の通貨を扱っています。南アランドの金利は普通預金が3.0%、「円普通預金からの預け入れ」による定期預金なら、1カ月の間は30.0%という高い金利が適用されています。その後に自動継続した場合の金利は、10万ランド未満の1カ月5.05%から、100万ランドの6カ月6.2%まで、金額や預入期間に応じた金利が適用されます。

「外貨預金」のメリット

こうしてみると、「外貨預金」の最大のメリットは「高い金利」に尽きるでしょう。また、為替の変動がプラスに働く場合があることも見逃せません。

メリットその1:為替変動

たとえば、100万円で米ドルの1年定期預金を始めたとしましょう。1ドルが110円だった場合には、約9,090.9ドルの預金をしたことになります。為替のレートが変わっていなければ、9090.9ドルに年率0.5%の金利を加え、所得税などを差し引くと9127.26ドルとなります。日本円に換算すると、100万3,998.6円になって戻ってくるはずです。

9090.9 ドル+(9090.9ドル×0.005(金利)×0.8(所得税など約20%差し引き))= 9127.26ドル

9127.26ドル × 110円 = 100万3,998.6円

ところが、もしこの時のレートが1ドル115円の円安に変動していたとすれば、年率0.5%だったはずの金利が、なんと実質5%近く上がった計算になります。

9127.26ドル×115円 = 104万9,634.9円

このような為替レートの変動によって利益が生じるという現象は、当然ながら逆のケースもあり得ます。先ほどの例で、もし1ドル105円の円高になっていた場合には、100万円の元本を割ってしまったことになります。

9127.26ドル×105円 = 95万8,362.3円

メリットその2:リスク分散

他にも、「リスクを分散できる」という点も大きなメリットです。投資の世界には「卵を一つのカゴに盛るな」という有名な格言があります。持っているすべての卵を一つのカゴに盛ってしまうと、もしもそのカゴを倒してしまったら卵が全部割れてしまいます。そこで、複数のカゴに分けておけば、万一そのうちの一つを倒してしまったとしても、他のカゴの卵を守ることができるというわけです。

外貨預金では、さまざまな通貨に分散することによって、為替変動によるリスクを小さくすることができます。その場合、日本の経済との関連性が低い国を選択することがポイントとなります。複数の国に分散をしておけば、日本円が暴落した場合にも資産価値を守ることができるでしょう。

「外貨預金」のデメリット:手数料

「外貨預金」には、前述のように為替レートの変動がマイナスに働く場合があることのほかにも、為替手数料が思いのほか高いことや、定期預金を中途解約した場合には高い解約手数料がかかることなどのデメリットがあります。特に為替手数料については、十分に注意しておく必要がありそうです。

米ドル建ての預金を例に見てみましょう。

三菱東京UFJダイレクトでは為替手数料を含んだ取引レートは2つに分かれます。

  • TTS ( Telegraphic Transfer Selling ) :円から外貨への取引レートを電信売り相場のこと
  • TTB ( Telegraphic Transfer Buying ) :外貨から円への取引レートを電信買相場のこと

このTTSとTTBの2種類に分けて表示しています。

ちなみに2017年4月10日に更新された時点での米ドルのTTSは112.43円、TTBは110.43円でした。つまり100万円をドルに換えた場合には8,894.42ドルとなり、それをすぐに円に戻したとしても、受け取れる金額は98万2,211円となり、差し引き1万7,789円が手数料に充てられたことになります。

1万7,789円は100万円に対して約1.78%にあたります。つまり定期預金の年間の利率が0.5%だったとしても、1.78%の手数料を支払った後で、利回り利回りがマイナスになってしまいます。さらに預金金利には20.315%の源泉分離課税が課されるので、「高い金利」という「外貨預金」のうたい文句も、相当に割り引いて考える必要がありそうです。

また、「外貨預金」で注意しておかなくてはならないのは、日本の定期預金とは違って、万一金融機関が破たんした場合にも1,000万円までの元本とその利息が保証されるという「ペイオフ(預金保険制度)」の対象にはなっていないという点が挙げられます。

「外貨預金」の注意点

ここでは、「外貨預金」を利用しようとする場合に注意しておくべき点について確認していきましょう。

・キャンペーン金利

まずは宣伝によくある「キャンペーン金利」についてです。「外貨預金」の宣伝には、「為替レートの予想が当たれば、金利0.7%をオンします」というキャンペーンが付与されているケースも目立ちます。こうした場合には、金利がオンされる条件や期間によくよく目を配っておかないと、とんでもない勘違いをしてしまうこともあるため、注意を払う必要があるでしょう。

・手数料割引

「手数料割引」というサービスにも単純に惑わされてはいけません。割引の対象が円から外貨に変換する場合の片道だけで、再度外貨を円に換える場合には適用されないというケースも少なくはないからです。

海外旅行によく行く人の外貨預金活用法

ところで、円を外貨に換えたうえで、そのまま外貨を利用する場合には、外貨から円への変換返還手数料がかからない分、「外貨預金」のメリットを存分に生かせることになります。海外旅行によく行く人にはぴったりの活用法だといえるでしょう。

例えば11通貨に対応しているVisaデビット付キャッシュカードの「ソニーバンクウォレット」を利用すれば、世界200以上の国と地域でショッピングできる他、海外ATMでも自分の口座から現地通貨を引き出すことができるようになります。つまり海外旅行によく行く人にとっては、「外貨預金」は旅行時にも役立つというメリットがあるのです。

いずれにせよ「外貨預金」は、日本の定期預金とは性質を異にする「投資商品」であることを肝に銘じておくことが大切です。

表面上の金利や手数料の割引などの宣伝文句に気を奪われることなく、実際に投資した場合にどの程度の利回りが期待できるのかを、きちんとシミュレーションしておくことが大切だといえます。具体的な数字を目の当たりにすることによって真の効率を把握することができる、ということを理解しておけば、自ずと利用場面がイメージできてくるはずです。

※金利は2017年4月時点

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