学ぶ 2017.05.23 海外に行かなくても日常生活に影響している「為替」の豆知識

経済関連のニュースなどでよく耳にする「為替」。ドルやユーロといったメジャーな通貨もあれば、聞いたことのない国のものも加えると、世界には多くの通貨が存在します。中学校の授業で為替を学んだ記憶はあるものの、海外旅行や投資に興味のない人にとって為替は少し縁遠いものになってきているのではないでしょうか。しかし実際、為替の変動は毎日の生活に深く関係しているものです。今回はそんな「為替」についてあらためて考えてみましょう。

為替とは

「為替相場」とは、異なる通貨を交換、売買する場(為替市場)において、異なる通貨を交換・売買するときの交換比率のことを差します。世界の経済状況や、国の政策などで変動し、市場における需要と供給のバランスで相場が決まります。

よくニュースなどで耳にする「円高」「円安」という言葉があります。円高はドルなどの通貨に対して、円の需要が上がった、または供給が下がったことを意味します。言い換えると、「日本円の人気が上がったので価値も高まった」もしくは「日本円の流通量が減った」ことにより、希少価値が向上したということです。反対に円安であれば需要が下がった、または供給が上がったということになります。

近年日本では、政府主導で円の供給量を上げて円安に誘導するための政策を打ち出し、日本銀行も「量的・質的金融緩和」などの金融政策を行ってきました。これは、市場での貨幣流通量を増やし、為替市場において円安に誘導することで、国内の経済活性化を目指したものです。

日本経済が好景気になると、日本円への人気や信頼度が高まるために円の需要が高まったり、金利の上昇によって円の供給が減速したりするため、円高になる傾向が強まります。このように、さまざまな要因が複雑に絡み合って円の価値に影響を与えているのです。

日常生活にはどんな影響がある?

為替の変動により、私たちの生活にはどのような影響があるのでしょうか。2つの側面から見てみましょう。

・ 日本経済への影響(企業・ビジネスマン目線)

石油や鉄鉱石などの資源に乏しい日本は、昔から精密機械などの製品を輸出することで大きな利益を上げてきました。今でも、輸出業の日本経済における影響は大きく、トヨタ自動車や日立製作所などのグローバル企業が、けん引している側面も見受けられます。

日本の経済は為替と強く結びついています。一般的には、円安になれば海外の消費者が、安く日本製品を買うことができるので売上のアップにつながり、好景気の要因となります。反対に円高になれば、日本製品の海外での販売価格が高くなり、買い控えが起きるため、日本企業にとっては減収となり経済がスローダウンしてしまいます。

しかし、日本にヘッドクオーターがあるものの、海外で製造から販売まで行っているような企業の場合は、円安になることで海外で計上される製造コストが上昇し、逆に業績が悪化するようなグローバル企業も存在します。そのため、一概に円高・円安のどちらが良いか、ということが言えないのも事実です。

当然こういった企業の業績への影響は、その会社で働くビジネスマンにとっての給与やボーナスにも反映されるでしょうから、目が離せません。

・ 身近な買い物への影響(消費者目線)

より身近な影響としては、食料品の価格があげられます。日本の食料自給率は39%と低く、多くの食品を輸入に頼っています。つまり海外からの輸入品を多く購入しているため、円安になるとコストがかさみ、一般的には物価上昇につながります。たとえば、牛肉の輸入価格が高くなれば、スーパーの店頭に並ぶ輸入牛肉の値段も高くなるでしょう。

当然、輸出入にあたっての関税なども関係してくるため、為替だけが商品価格に影響をおよぼすわけではありませんが、こういった観点でも影響があることを頭の片隅に持っておくと良いでしょう。

外貨を持つことのリスクとメリット

為替の動きは、市場経済に大きな影響をもたらしますが、個人として外貨を持つことの意味についても考えてみましょう。

ドルやユーロなどの外貨を持っている場合、円高に振れれば、その資産は一気に目減りします。昨年のイギリスのEU離脱の動きにより、一気に円高ポンド安に振れたことも、分かりやすい例としてあげられるでしょう。たとえば、預金を1,000ポンド持っていたとしたら、2015年時点では日本円換算で約18万円(1£=180円換算)の預金価値があったわけですが、2016年7月には日本円換算で約14万円弱(1£=136円換算)になってしまったため、日本円換算で4割も資産が目減りすることになります。

一方で、円高傾向が長く続いている時期には、外貨建てで資産形成しておくことによって、のちに円安に振れると実質資産額も増えること(為替差益)が期待できます。また、外貨を持っていることで、海外旅行で通貨を両替する手間やコストが小さくなるというメリットもあります。

※:こうしたリスクを回避するために、金融市場においては「分散投資」という選択肢があります。為替は常に変動するため、ひとつの国だけの外貨を持つのではなく、複数の外貨や債券などに資産を分散させておきましょう。分散投資を行えば、為替変動の影響を最小限にし、他の資産でカバーすることも可能です。

比較的簡単に外貨を入手する方法

銀行の預金や両替などを利用すれば、手軽に外貨は入手できます。代表的なものとしては以下の4つがあげられるでしょう。ただし、それぞれにメリットデメリットがあることも留意しましょう。

手持ちの円をドルやユーロなどの外国通貨に交換し、銀行に預け入れます。普通預金と定期預金があります。

・ FX(外国為替証拠金取引)

ドル、ユーロ、ポンドなど外国の通貨を売買する為替取引により、外貨を獲得します。

・ 外貨両替

銀行や空港などで現金を両替し、直接的に外貨の現金を手に入れることができます。

・ 外貨建ての投資信託

外貨建ての金融資産、投資信託商品(例:外貨建てMMF)などを購入すれば、外貨を所有していることとほぼ同義になります。

生活に影響する為替について考えてみよう

海外に行っても行かなくても、輸入品に囲まれて生活をしていれば関係してくるのが為替です。為替の動きは世界中で起こる出来事のみならず、さまざまな経済指標によっても変動しますので、参考にしてみるとよいでしょう。

たとえば「米国雇用統計」で賃金上昇率が予想より大きくなれば、アメリカの利上げペースが加速するのでは?と予測でき、実際に利上げペースが加速するようならばドル高・円安になる可能性が出てくる、といったような流れが考えられます。

ニュースなどを見る際には、世界情勢とあわせて「円高」「円安」の動向もチェックすると良いでしょう。

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