備える 2017.09.29 乳がんの治療に保険がおりない? がんになる前に確認しておきたいこと

乳がんになる女性が年々増えているのをご存じでしょうか。少し前までは日本人女性の12人に1人の割合だと言われていましたが、現在は11人に1人の割合(*1)で発病しています。中でも30代後半から40代後半にかけて、発病が大きく増えるとも言われています。(*2)今回は、乳がんについて考えてみましょう。

乳がんって何?

乳がんとは、乳房にできる悪性の腫瘍のことを言います。その多くは乳管の細胞ががんとなり、発生します。国立がん研究センターによれば、2017年には乳がんでの死亡数予測が1万4,400人に達すると予測されており、年々増加傾向にあります。

乳がんは早く分かれば、その分早く治療ができるため完治する可能性が高まります。そのため、月に1回のセルフチェックや定期的な乳がん検診を利用するなど、定期的にチェックすることが大切です。

乳がんは高額な治療費がかかる

実際に乳がんの治療が始まれば、病状や治療方法によっては入院、手術、投薬以外にも、放射線治療やホルモン療法、化学療法などさまざまな方面からの治療が行われるので、高額な費用がかかると言われています。

医療費の一例
入院と手術入院7日間・センチネルリンパ節生検・温存手術腋窩リンパ節郭清なしの場合総額およそ75万円・実際に支払う金額(3割負担の場合)23万円
放射線療法放射線療法(温存手術後25回照射の場合)  総額およそ47万~70万円・実際に支払う金額(3割負担の場合)14万~21万円
ホルモン療法
(内分泌療法)
※閉経前
LH-RHアゴニスト製剤・皮下注射(リュープリン12週ごと1年間の場合)総額およそ29万円・実際に支払う金額(3割負担の場合)8.8万円 *1回の支払い:およそ2.2万円
化学療法
(抗がん剤治療)
〈身長160cm,体重50kgの場合〉
AC療法(3週ごと4回)  総額およそ13万円・実際に支払う金額(3割負担の場合)4万円  *1回の支払い:およそ1万円
分子標的治療
〈体重50kgの場合〉
3週毎トラスツズマブ(3週ごと18回)  総額およそ216万円・実際に支払う金額(3割負担の場合)65万円 *初回の支払い4.7万円 2回目以降3.5万円

参照:日本乳癌学会 患者さんのための乳癌治療ガイドライン

年齢が70歳未満の場合、診療報酬点数から計算された治療費の3割を負担します。治療費が高額で支払いが難しい場合は、高額療養費制度の利用も可能です。ただし、保険の適用外になる差額ベッド代や食事代、雑費、保険適用外の先進医療や化学療法もありますのでご注意ください。

また、高額療養費制度は医療機関別、入院・通院別で算出されます。それぞれ自己負担額が2万1,000円以上の場合のみ対象となるため、複数の医療機関にかかっていて、自己負担額が2万1,000円に達していない医療機関がある場合は、その医療機関の治療費は申請できません。

医療保険やがん保険の保障内容はよく確認しよう

・上皮内新生物

「上皮内新生物」という初期がんが見つかったので治療を行ったが、昔から加入していたがん保険だったため、上皮内新生物が保障の対象外だったので保険金がおりなかったと聞くことはありませんか。

実は、他の上皮内新生物の治療とは異なり、乳がんの上皮内新生物の治療は悪性新生物の乳がんと同じ治療が必要だと言われることもあります。そのため、他の上皮内新生物の治療が数万円程度なのにもかかわらず、乳がんの上皮内新生物の場合は数十万円費用がかかると言われています。加えて、長期に渡って治療が続けば治療費がかさみ、高額療養費制度を使っても費用増となる可能性も否めません。

・乳房再建

最近は、ガン摘出後に乳房再建手術をする人が増えてきています。乳房を再建する方法は大きく分けて2つあります。1つは自分のお腹や背中の組織を使って再建する自家組織移植法、もう1つはシリコンやインプラントを用いた人工乳房による再建方法です。

乳房再建時の自己負担額は大きく、乳房(片側)の再建にかかる費用は健康保険を適用し、3割を自己負担しても、自家組織移植法は30万円~60万円、人工乳房は40万円~60万円ほどかかると言われています。いずれも高額療養費制度への申請も可能になりますが、シリコンのサイズや形によっては保険適用の範囲外になります。

保険は時代のニーズに即して保障内容が変化しています。新しい保険であれば保障内容も充実しており、上皮内新生物が保障対象になっているものもあります。加えて、乳房再建保険も登場しています。

一方で、古くから加入している保険の中には、上皮内新生物や乳房再建が保障対象となっていないものもあります。オプションで追加出来ない場合は、その部分の保障を広げる意味で掛け捨て保険も視野に入れることも検討しましょう。

ピンクリボンの活動

乳がんは女性特有の病気ですが、まれに男性も発症することがあります。そのため、他人ゴトではなく、自分ゴトとして捉えたいものです。

普段、なかなか乳がんについて考えたり、理解を深めたりする時間がないならば、ピンクリボンフェスティバルをチェックしてはいかがでしょうか。ピンクリボンフェスティバルではスマイルウォーク、シンポジウム、フェスティバル、デザイン大賞など、さまざまな取り組みが行われています。

15年目を迎える今年は、各地で啓発イベントの開催、ライトアップや交通広告を通して街全体で患者さんを支えていくというメッセージが発信されます。特にこの10月はイベントやライトアップが大々的に行われます。各地で行われるピンクリボンのイベントに、あなたも足を運んでみませんか。

(*1)国立がん研究センターがん情報サービス がん登録・統計
(*2)2017年6月 厚生労働省 人口動態統計(概数)

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