備える 2017.12.08 備えあれば憂い無し。女性がかかりやすい病気と知っておくべきお金のこと

男性と女性ではかかりやすい病気が異なるだけではなく、女性特有の病気もあります。そこで、女性がかかりやすい病気やその対処法、そしてもし病気になった場合にはどのような補助や手当があるのかを考えてみましょう。

女性がかかりやすい病気とは?

厚生労働省の「平成26年患者調査」によると、女性の入院・外来の受療率は、20歳を超えると徐々に増えていきます。入院に関して20~24歳は1,000人に1.84人、25~29歳は3.06人、30~34歳は3.79人、35~39歳は3.42人となっています。

女性特有の病気や症状で挙げられるのは、主に月経不順、月経痛、過多月経、子宮内膜症、子宮頸がん、子宮脱、卵巣がん、乳がん、自律神経失調症、甲状腺疾患(バセドウ病、橋本病)などです。

なかでも、20代から罹患の可能性がある甲状腺疾患や女性特有のがんは、患者数が増加傾向にあります。

女性のがん死亡数が多い部位(2015年)
1位 大腸
2位 肺
3位 胃
4位 すい臓
5位 乳房
参照:国立がん研究センター

女性の罹患数の多いがんの部位(全国推計値、2013年)
1位 乳房
2位 大腸
3位 胃
4位 肺
5位 子宮
参照:国立がん研究センター

働き始めると忙しくなり、なかなか病院に行けない人もいるかもしれません。しかし、実際に25~29歳での入院率が20〜24歳の2倍近くになることを考えれば、定期的な検診を受けること、初期症状が出たら早めに受診することが大切だと考える必要がありそうです。デリケートな問題なので、なかなか人に相談しづらいものですが、早期発見、早期受診を心がけましょう。

日頃のセルフチェックも大事

定期検診に行く時間がなかなかない人は、自分の体の状態を観察するセルフチェックも有効です。例えば乳がんは、セルフチェックで早期発見がしやすい病気だと言われています。入浴前などに鏡の前で乳房の変形や左右差がないか、乳頭から分泌物が出ていないか確認したり、仰向けになってしこりがないか、外側から内側へ指の腹で触ってみたりしましょう。(参考:日本乳がんピンクリボン運動

おかしいなと思って早めに病院に行って医師の診断を受ければ、その分治療が長引かずに済みます。

病気になった時に役立つ社会保障

健康に気遣っていても、病気になって会社を休めば収入が減ります。加えて、治療費の負担が増えて支出が多くなります。では、病気になってしまった場合にはどのような社会保障があるのでしょうか。

1. 傷病手当金

傷病手当金は、健康保険に加入している会社員が、病気やけがのため3日連続で会社を休んだ時に、4日目から支給される手当です。業務外の病気やけがでの休業、仕事に就くことができない状態であること、休業した期間に給与の支払いがないこと(給与が傷病手当より少ない場合は、差額が支給されます)の要件を満たせば、最長1年6カ月まで支給を受けることができます。

・傷病手当金の計算方法

休業1日あたり(支給開始前12カ月間の標準報酬月額)÷30日×2/3

さらに、もし療養中に退職しても、退職日までに被保険者期間が1年以上あれば、退職後も手当を受け取ることができます。

2. 高額療養費制度

高額療養費制度は健康保険の制度で、同一月の医療費が高額になった時に、「自己負担額」の上限を超えた分が、後で払い戻される制度です。「自己負担額」は年齢や収入によって変わります。

・高額療養費制度の計算方法

例えば標準報酬月額(賃金、各種手当など受け取る報酬の全ての金額を区切りの良い区分に分類したもの)が28~50万円未満の人の場合、自己負担の上限は「80,100円+(医療費-267,000円)×1%」となります。

差額ベッド代(特別療養環境室料)や食事療養費は別途必要となりますが、医療費の負担は軽くなります。

3. 医療費控除

医療費控除は税法上の制度です。1月1日から12月31日までで、自分や家族(配偶者、子どもなど生計を一にする者)の医療費が一定金額を超えた場合に、確定申告をすることで所得控除を受けられ、税金(所得税、住民税)が還付されます。

・所得控除金額の計算方法

所得控除金額=実際に支払った医療費-保険金などで補填された金額-10万円(総所得金額が200万円未満の方は、総所得金額×5%)

申告の際には領収書が必要ですので、なくさないように保管しておきましょう。

4. 障害基礎年金

障害基礎年金は、病気やけがが原因で障害状態になった場合に、要件を満たせば受給できます。手足の障害だけでなく、精神障害やがんなどの場合でも日常生活に制限を受ける状態だと障害認定を受けられる可能性があります。

障害年金の金額は、障害の度合いと加入してる年金制度によって変わってきます。初診日において国民年金の被保険者であった場合は1級、2級(1級の方が程度が重い)、厚生年金の被保険者であった場合は1級、2級に加えて3級が設けられています。

備えあれば憂い無し

上記はあくまでも社会保障で、実際に病気になると利用することができます。ただし、全部を賄うことはできません。不足部分は医療保険などで補うと安心でしょう。

一般に、民間の医療保険は健康な時にしか加入できません。現在は、糖尿病やがんになっても加入できる保険もありますが、保険料が割高になることが多くあります。

病気になった時の社会保障や、治療費がどれくらいかかる可能性があるのかを考え、自分の給与や預貯金を加味して、自分が働けなくなった時のことを考えてあらかじめ準備しておくと良いでしょう。

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