学ぶ 2016.11.16 今さら聞けない、確定申告とは?
サラリーマンにとって確定申告は、あまり機会もなく、なじみの薄いものかもしれません。たいていの人は、会社で配られる年末調整の用紙に必要事項を記入して提出すれば、確定申告をわざわざする必要がないからです。しかし、医療費で出費がかさんだり、住宅ローンを組んだりした年には、確定申告をすると税金の控除が受けられます。“そのとき”がきてから慌てないように確定申告の基礎知識を学んでおきましょう。
■確定申告とは
確定申告とは1年間(1月1日から12月31日まで)の所得を確定させ、所得税(及び復興特別所得税)を申告納税する、または納めすぎた所得税(及び復興特別所得税)の還付申告をするための手続きのことです。
■所得税とは
そもそも「所得」とは何でしょうか?収入と何が違うのでしょうか。収入と所得の関係は、計算式に表すと分かりやすくなります。
税法上における所得とは、下記の式で計算します。
所得=収入(売上)-もろもろの控除-経費
つまり、所得とは稼いだお金の中から経費を引いた「儲け」にあたります。
私たちは、この所得に応じて税金を払わなければなりません。日本で初めて所得税が導入されたのは1887年で、当時は「富裕税」と呼ばれていました。一部の高額所得者に課せられた税金だったのでステータスでもあり、別名「名誉税」と言われたそうです。1940年に大幅な改正が行われて給与所得のある人が対象となる「所得税」となり、現在に至ります。
■会社員と確定申告
会社員などで給与所得がある方のほとんどは、勤め先で行う年末調整によって所得税(及び復興特別所得税)が清算されますので確定申告をする必要がありません。しかし、次のケースに当てはまる人は確定申告が必要となります。
◎確定申告をしなければいけない人
- 給与が1年間に2,000万円を超える人
- 勤め先以外の仕事に携わり、20万円を超える副業収入がある人
- 複数の勤め先から給与をもらっている人
- 外国企業から受け取った退職金がある人
- 災害減免法が適用され、給与について所得税(及び復興特別所得税)の源泉徴収税額の徴収猶予や還付を受けた人
複数の勤め先から給与をもらっている場合、年末調整をされていない給与の収入合計と給与所得、退職所得以外の各種所得との合計が20万円を超える場合に確定申告が必要となります。
また、納めすぎた税金を還してもらうために確定申告をした方が良い人もいます。
◎確定申告をした方が良い人
- 医療費が1年間に10万円を超えた人
- OTC医薬品の年間購入額が1万2,000円を超える人
- 寄付を行った人
- 住宅ローンを組んだ人
- 中途退職をして年末調整を受けていない人
医療費は、「生計を一つにしている」家族であれば合算することができますし、最近、多くの人が関心を寄せている「ふるさと納税」は寄付にあたるため、税金控除の対象となります。
住宅ローンの控除とは、一定条件で住宅ローンを組んで購入した人や、省エネやバリアフリーといった特定の改修工事をした人が年末のローン残高に応じて還付金を受けられる制度です。
確定申告の手続き期間は、翌年の2月16日から3月15日までの1カ月間です。申告書類を税務署で入手するか、国税庁のWebサイトからダウンロードして必要事項を記入し、管轄の税務署へ提出します。すべての手続きをオンラインで行える便利な「e-Tax」というサービスも利用可能ですが、e-Taxの利用には電子証明書の取得やICカードリーダライタの購入が必要です。
なお、納めすぎた税金を戻すための還付申告は期間外でも受付けてくれますし、過去にさかのぼって5年分までが対象となります。会社員であれば申告する件数も限られ、手続きも複雑ではありませんので、ぜひチェックしてみてください。
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TEXT:マネチエ編集部
PHOTO:PIXTA
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