備える 2018.01.29 2018年介護保険の制度改正、20代・30代の私たちが今から対策できることは?

2018年1月、介護保険制度が改正されました。今はまだ若く、介護は先のように感じる20代・30代でも、気がつけば自分自身が介護を受ける立場になります。そこで、現状の介護保険制度を知り、将来の介護に向けた対策を検討していきましょう。

介護保険制度改正、その変更点とは

介護保険制度とは、高齢者の介護を社会全体で支えていく仕組みのことです。65歳以上を第1号被保険者、40~64歳の医療保険加入者を第2号被保険者として、要支援・要介護状態になった人に対するサポートを行います。

介護保険の総費用は、加入者の支払う保険料および公費から捻出されます。2000年には3.6兆円だった総費用が2012年には8.8兆円まで増加したことを受け、持続可能性を念頭にした制度改正が実施されるようになりました。大きな改正は、2018年で5回目となります。

■2018年の変更点は下記がポイント

  • 高齢者の健康維持・促進
  • 高齢者と障害者をともに支援する共生型サービスの創設
  • 介護保険利用時の自己負担割合が引き上げられる(年金収入で年収340万円以上の層の負担割合を2割→3割に変更)
  • 介護保険料に総報酬制を導入
    厚生労働省資料([H280110ベース]H29老健局部局長会議資料)を元に記載

毎日の生活に影響することは?

介護保険の制度改正が行われると、私たちの生活にはどのような影響があるのでしょうか。

・4月には介護保険料の見直しが行われる

介護保険は3年に1度見直しが行われますが、ちょうど2018年の4月には65歳以上の介護保険料が見直されます。なお、現在の40歳から60歳は加入者数に応じた「加入者割」という仕組みを使って保険料の計算が行われていましたが、収入に応じた「総報酬制」へ徐々に移行しています。そのため40歳から60歳の人も介護保険が見直される可能性もあります。

・8月には介護サービス料の自己負担額が引き上げられる

8月には介護サービスの自己負担額割合が引き上げられます。実際の表では下記のようになります。

自己負担額割合の引き上げ(2018年8月)単身の場合
収入の目安自己負担割合上限金額
340万円以上3割4万4,400円
280万円以上2割4万4,400円
280万円未満1割3万7,200円

厚生労働省「介護保険制度の見直しについて」を参考に編集部作成

作成した表は単身の場合ですが、厚生労働省によれば単身の340万円以上は夫婦世帯の463万円以上と同等だという想定ですので、夫婦の収入が多い家庭は自己負担額が増えると考えてよいでしょう。

なお、単身の280万円以上は夫婦世帯では346万円以上の世帯を指します。今まで介護サービス料の負担額が2割だったとしても、8月以降は3割になる家庭があるということには注意をしておく必要がありそうです。

老後の介護に備えて今からできる対策は?

内閣府の平成29年版高齢社会白書によれば、2050年には、日本の男性の平均寿命が84.02歳、女性の平均寿命が90.40歳になると言われています。また、同白書では2065年には総人口における75歳以上の割合が25.5%にものぼると伝えています。

そのような時代の中、老後の人生を生き抜く20代・30代の人たちは、医療費負担だけでなく住宅のバリアフリー化、健康的な生活を維持するためのヘルスケア費用まで含めたお金を用意するためにも貯蓄をしておく必要があります。

総務省の統計によると、60~69歳の2人以上世帯における1カ月の平均的な消費支出は27万7,283円、70歳以上の世帯で23万8,650円とされています。年金収入を含めても赤字が生じる可能性が高く、若いうちに積み立てた貯蓄を取り崩していかなければ生活できない水準です。

具体的に老後の生活に備えて今からできる対策を考えてみましょう。

iDeCo(イデコ)やNISA(ニーサ)を使った資産形成

長期投資を念頭に考えた安定的な資産形成を進めましょう。たとえば、個人型確定拠出年金であるiDeCoや、少額投資非課税制度であるNISAなどの投資優遇制度を検討するのがよいでしょう。

iDeCoもNISAも長期で積み立てを行いながら、投資のタイミングや商品を分けることで、リスクを分散することができます。これ以外にも、株式、債券、投資信託、預金等に分散しておくことが大切です。

・マイホームの購入

老後の居場所を確保するという意味では、マイホーム取得も選択肢のひとつでしょう。住居に関わる費用は高齢者世帯にとって負担になりやすい項目のひとつです。老後はパートナーと住む、もしくは単身で住む場合は駅やスーパー、病院が近くにある方が安心だといえます。

・老後を見据えた不動産投資をする

不動産投資も検討の1つです。今は、コンパクトマンションなどの1Rより幅広の部屋も誕生しています。コンパクトマンションは駅の近くなどの条件のよい場所に立地していることが多く、若い時は不動産投資として人に貸し出し家賃収入を得ることができます。仕事退職後には自分たちの住居にするなどの使い道が考えられます。

30歳前後で投資を始めれば、退職金が支払われる頃には家賃収入で不動産投資ローンを完済している場合もあり、老後に備えて効果的な資産形成ができるといえます。

・健康的な生活を行う

20代・30代から健康的な生活をすることも大切なポイントです。食生活を気遣い、定期的に運動をし、自分のカラダをベストな状態にしておくことが大切です。

会社等では年に1度人間ドックや健康診断を受けることができることでしょう。自治体でも健康診断を受けられる場合は受診し、自分のカラダの状態を知っておく必要があります。万一何かあれば早めに対策・対応をしておくことで、老後も健康的な生活が送れるはずです。

介護への対策を考える時にはライフプランの検討を

高齢者の貧困化が社会的な問題になりつつある今、なるべく早い段階から介護について深く理解することが安定的な老後を迎える第一歩です。そのためにはお金と健康の両面を気遣うことが大切です。

ライフプランを見据えた長期的な資産形成と住居の確保、そして健康的な日々を送るためにできることを考えて、20代・30代の今から意識してみてはいかがでしょう。

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