貯める 2016.09.05 学資保険とジュニアNISA、教育資金を貯めるなら?

日本銀行がマイナス金利導入を発表し、超低金利と言われていた預貯金の利率は更に引き下げられそうだ。貯めておいても増えない時代、教育資金を用意するためには積極的な「おカネの活用」が求められる。その方法として、学資保険とジュニアNISAを比較検討したい。

■学資保険のメリット・デメリット

学資保険とはリスクへの備えと貯蓄性を兼ね備えた保険商品だ。保険料を払い込む必要があるため、貯蓄に自信がない人でも強制的に教育資金を準備でき、一定のリスクに対応できるといった特徴がある。メリットとデメリットをまとめました。

1. 親の死亡・高度障害リスクに備えられる

契約者(父や母)に万が一のことがあった場合、以後の保険料は払込免除となるが、「学資一時金」や「学資年金」などは予定通り受け取ることができる。ただし、契約者が高齢になると払込保険料も上がることとなる。

2. 払い込んだ額より受け取れる金額が増える

満期まで待てば受取総額が増える商品が複数存在する。受取率は102%~105%程度と少額のものが多いが、「減らない」という安心感は大きいだろう。ただし商品によっては受取率が100%を割るものもあるので注意。

3. お祝い金を必要なタイミングで受け取ることができる

一時金、いわゆる「お祝い金」が、中学校入学、高校入学といった節目ごとに受け取れる商品が多い。一時金の原資は払い込んだ保険料なのでお得感は少ないかもしれないが、お金がかかるタイミングで確実に現金が手に入るのは大きなメリットだ。

なお、満了時期は18歳~21歳程度と幅がある。一般的に教育費が一番かかるのは大学入学時(受験料、入学金、初年度費用など)だが、21歳満期のプランにしておけば独立して一人暮らしをする際の資金としても活用できる。目的に応じて利用したい。

4. 払込期間や金額を選べる

払込期間は5年、10年、15年のうちから選べる場合が多い。払込期間を短くすれば子どもの教育費がかかる前に支払いを終えることができる。また、受取額も自身の家計の余力によって選択できるので、加入しやすい。

デメリットとして、途中解約の際は払い込んだ額よりも少額のお金しか返ってこないこと、健康状態によっては加入できないことなどが挙げられる。特に途中解約については「毎月」「決まった額」を払い込まなければならないので臨時出費や病気などで家計が悪化すればやりくりが大変になるだろう。将来の支出増も見込んで余裕をもって保険に加入することが望ましい。

また、上記はあくまで一般的な内容となる。詳細は商品によって異なるので注意が必要だ。

■ジュニアNISAとは?まずは仕組みを理解

一方のジュニアNISAはどうだろうか。若年層の投資家を増やしつつ、次世代の教育費準備を応援するといった目的で始まったジュニアNISAだが、どういった制度なのかよく分からないという人も多いかもしれない。まずは仕組みをポイント別に見ていこう。

1. 対象は未成年者

日本在住、0歳~19歳の者が口座を開設できる。口座では投資信託などの運用を行う。原則として運用は親権者など(祖父母や後見人も対象となるが、ここでは親とする)が代理で行う。

2. 年間80万円までの投資が非課税に

ジュニアNISAの運用の利益は非課税となる。ここでいう「80万円」の基準は投資額である。例えば、50万円投資して株を購入し、それが80万円に値上がりしたとしてもまた30万円の投資枠が残ることとなる。逆に残った30万の枠を翌年に繰越すことはできない。

非課税期間は最長5年。投資した年から5年経過するが、引き続き非課税で保有したいという場合、翌年の新たな非課税投資枠に移す必要がある。

3. 途中引き出しは不可

原則として、子どもが18歳になるまでは引き出しが制限される。もし引き出したら、過去にさかのぼって課税されるという厳しさ。不自由さも感じるが、投資は長期になればなるほどリスクが減るとされているので、強制的な長期投資制度だと前向きに捉えてほしい。

この仕組みを踏まえた上で、ジュニアNISAのメリット・デメリットを考えたい。

■ジュニアNISAの活用法と注意点

ジュニアNISAは運用であるため、リスクとリターンが背中合わせだ。資金準備の際は相場の上下を織り込む必要がある。一方的な値下がりを防ぐための分散投資は必須だし、18歳より前でも一定の利益が出たところで利益を確定(売却)させるなどして収益性を高めたい。

また、途中引き出しが原則不可のため、いざという時の資金として利用できないことを覚悟しておこう。

特色から考えると「余裕資金で行う」という感覚を持つと良いだろう。教育資金すべてジュニアNISAで作ろうとせず、あくまで補助として考える。教育資金すべてをジュニアNISAで用意するとなると、よりシビアな運用が求められ利益確定のタイミングも難しくなる。しかし、緩やかに運用するならば、非課税なので値上がり幅が小さくとも十分メリットはある。

もともとジュニアNISAは広い視野での運用が向いている。言うなれば、子どもの資産形成の一翼を担うと考えると良い。子どもの資産形成を目的とすると、「自由度」も高まる。18歳までに一定額を用意する、という縛りがなくなるからだ。

親子で長期投資の経験を積み、各自の資産形成に役立てることができる。また、祖父母から孫への生前贈与の受け皿として活用可能だ。祖父母から毎年基礎控除(110万円)の枠内で資金を得て、それをジュニアNISAで運用するという方法だ。

■教育資金を貯める効果的な方法は?

学資保険とジュニアNISAを見てきたが、それぞれ支出の目的が異なることが分かった。親の死亡やリスクを担保にするのが学資保険。一方、ジュニアNISAは非課税という武器で効果的に資金を増やすことができる。

換金性はどちらも制限されるため、最終的には「安全性の学資保険」「収益性のジュニアNISA」どちらかという選択になるだろう。ただし、安全性を取りたいが自己資金が不足しているためジュニアNISAを選択せざるを得ないという層もあるだろう。その場合は、分散投資、確実な利益確定などで地道に収益性を高めてほしい。

また、少しでも早く始めることで長期投資のメリットを最大限に生かしましょう。

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TEXT:横山晴美/ZUU Online
PHOTO:PIXTA

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